あの無印良品が味わった「停滞」の意外な歴史 成功体験に縛られれば危機が訪れるという教訓
大企業発ベンチャーの斬新すぎるコンセプト
無印良品の歴史は1980年に始まります。大手スーパーマーケット・チェーンの西友が、バブル経済へと向かっていく日本の消費社会に対するアンチテーゼとして「無印良品」というプライベートブランドを発売したことが発端でした。当時、無印良品が掲げたキャッチコピーは「わけあって、安い」。低価格ながら安さを感じさせない「ナチュラルテイスト」のパッケージングによって、「無印良品」の衣料品・加工食品・雑貨は、消費者の支持を獲得しました。
この結果、1980年代前半に「無印良品」は売り上げを大きく伸ばすことになります。西友の無印良品事業は、発売開始からわずか5年後の1985年には、年商約150億円を達成。1989年には西友は無印良品事業を「株式会社良品計画」として分離し、大企業発ベンチャーという形で「良品計画」の歴史が始まりました。
バブルの崩壊と、それにともなう消費者の「安くて品質のよいモノ」を求める機運によって、無印良品は順調に支持を集め、1995年に株式上場を果たします。
対照的に、親会社である西友、そして多くのスーパーマーケットはチェーンごとの差を打ち出しきれず、没落していくこととなりました。1996年2月期に最終赤字に転落し、その後も慢性的な赤字に悩むようになっていきました。
順調に業績を拡大する良品計画は、「無印神話」として賞賛されました。上場直前の1995年2月期時点で369億円だった良品計画の営業利益は、2000年2月期には1054億円に到達し、1000億円企業の仲間入りを果たします。
このように順風満帆に見える良品計画ですが、実は設立当初から、見えざる負債を背負っていました。見えざる負債の正体、それは、組織に根付いた「セゾンの社風」です。
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