米大統領選後起こりうる驚愕の4つのシナリオ 「ハリス副大統領候補」で民主党は本当に優位か
だがここにきて、中国の香港への締め付けは激しくなってきている。さらに台湾だ。今の段階でハリス氏がどこまで親中なのかは不明だが、バイデン氏本人は「オバマ政権時代、中国を膨張させた中心人物」というイメージはまったく払しょくできない。ならば、中国と関係が深いことで知られるカリフォルニア州選出の政治家との正副大統領候補は、トランプ陣営には「戦いやすいコンビ」と言えるだろう。
では、大統領選の実際の見通しはどう考えればよいのか。最新ではトランプ大統領の「再選信号」は「赤から黄緑くらいへ改善した」くらいのイメージだが、今後のモメンタム(勢い)はコロナと株価でいくらでも変わる。よって、青信号になることは最後までないと考える。
「1876年の大統領選の再現」も?
だが1つ確実に言えるのは、この大統領選は、接戦になった場合、出口がみえない泥沼に入り、アメリカそのものを弱体化させる可能性を持つことだ。それを避けるため昨年発足したのが、超党派組織の「Transition Integrity Project」(誠実な政権移行を支援するプロジェクト、ジョージタウン大学教授のローザ・ブルックス氏などが参画)である。
今回紹介したいのは、この組織が8月3日に出したレポートだ。そこでは主にトランプ陣営が敗北を認めないケースを想定しながら、場合によっては、バイデン陣営も敗北を認めないケースも展開している。興味深いのは、可能性としての妥協策のなかに、信じられないような示唆があることだ。
それは「1876年の大統領選の再現」である。どういうことだろうか。1876年の大統領選は、共和党のラザフォード・ヘイズ候補と民主党のサミュエル・ティルデン候補の白熱した戦いになった。この時、国民投票で勝ったのは民主党のティルデン候補だった。だが、直近で言えば2000年や2016年の時と同じように選挙人でヘイズ氏が上回り、最終的にヘイズ大統領が誕生した。
ただ、そこにはDEAL(取引)があった。簡単に紹介すると、1865年の南北戦争終了からまだそれほど間もない混乱期、共和党は敗者への配慮が必要だった。民主党は条件を出し、南北戦争後、南部の白人による黒人への非道を防ぐため、エイブラハム・リンカーン大統領後の政権がずっと南部に駐在させていた兵士の引き揚げを要求した。共和党はヘイズの大統領職と引き換えに、その条件を飲んだ。
実は、それがその後のKKK(クー・クラックス・クラン、白人至上主義を訴える結社)の台頭を招き、さらにそれが今日の「BLM運動」を招き、今共和党を苦しめているという流れだ。実際、大統領選だけでなく、目を離してはならない上下両院議会の選挙では、共和党の敗北が濃厚だ。
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