肝心のストーリーはどうか。主人公の仁は尊敬する伯父の志村が掲げる「誉れある武士」を理想と考えているが、卑劣な蒙古兵たちと戦いを繰り広げていく中で、民を救うために背後からの不意打ちすらためらわなくなっていく。
命の恩人であり、共に戦うことになる野盗のゆな曰く「冥人(くろうど)様」となりつつある仁の姿は、理想とする誉れある武士の姿と徐々に離反していくのである。
求められるプレイは不意打ちや闇討ち
これはストーリーに限った話ではない。戦闘システムも武士らしく正々堂々と立ち向かうより、不意打ちや闇討ちを繰り返すほうがゴールに近づきやすい。
たとえば蒙古の拠点を攻めるとする。最初に拠点周辺を見張る弓兵などを長弓で射貫き、内部へ侵入。屋根に上ったり茂みに隠れたら、ひとり離れて周囲を見張っている兵を闇討ち。
集団を成す兵に対しては爆竹で呼び出し、集まってきたところをてつはう(手榴弾のような武器)で爆殺。最後に残った少数の敵の前に立ち、くないを投げて相手がよろめいたところを太刀でズバッと叩き切れば、完全勝利である。
縛りプレイでもしない限り、ほとんどのプレイヤーは闇討ちや暗具という、誉れある武士の姿とはかけ離れた戦い方を繰り返すことになるだろう。プレイヤーもまさに「冥人」の生き様を自ら突き進むことになるのである。
ゲーム全体の難易度は、決して死にゲーではないが、かといって簡単に無双できるわけでもない。気が緩むとやられてしまう、ほどよい水準。そしてストーリーは、まるで1本の時代劇映画を見ているかのように重厚だ。
僕は2週間程度で一気にプレイしてクリアしてしまった。とても楽しく濃密なゲーム体験であったが、決してマイナス部分がなかったわけではない。
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