「炭酸水」が品薄に?製油所閉鎖の意外な影響 猛暑と供給量不足で炭酸ガスの需給が逼迫
国内の主要メーカーはエア・ウォーター、大陽日酸の子会社である日本液炭、昭和電工子会社の昭和電工ガスプロダクツ、岩谷産業の4社。4社でシェア95%程度を占める。産業・医療ガスメーカーや販売店でつくる日本産業・医療ガス協会によると、液化炭酸ガスの2019年度の供給量は約74万トンになる。
これに対し、「液化炭酸ガスの国内需要は約75万トン」(岩谷産業広報)で、供給量にほぼ等しい。これとは別にドライアイスの需要も約35万トンある。溶接に使う液化炭酸ガスの需要は景気がいいほど増え、ドライアイスも気温が高いほど需要が増える。
猛暑でドライアイスが不足する
炭酸ガスメーカーをとくに悩ませているのがドライアイスの供給だ。
LPガス事業を主力とする岩谷産業の服部栄一郎ケミカルガス部長は、「ドライアイスの需要は夏場に通常時の2~3倍に膨れ上がる」と説明する。高温の夏は、食品輸送などで必要になる量が大幅に増えるからだ。
こうした苦しい需給環境は猛暑に見舞われた2018年にはっきり現れた。2018年は気温が35℃以上となる猛暑日が6~8月の間に12日あり、平年に比べ9.8日も増えた。この年、日本液炭とエア・ウォーターは6月から7月にかけてドライアイスの出荷制限を実施。日本液炭は約4割、エア・ウォーターは約3割も供給量を絞った。
出荷制限の理由は需要増だけではない。供給側も思わぬトラブルに見舞われていた。「供給元である製油所の定期修繕やトラブルが重なり、十分な原料調達ができなかった」(エア・ウォーター広報)のだ。
無糖炭酸飲料向け需要が増えていることも需給逼迫を加速させている。無糖炭酸飲料は従来、アルコールの割り材として使われてきたが、近年は水やお茶の代わりにそのまま飲む人が増えている。中でもアサヒ飲料の炭酸水「ウィルキンソン」が無糖炭酸水市場を牽引。コンビニなどはプライベートブランドの炭酸水を販売しており、富士経済によると、2011年に159億円だった無糖炭酸飲料の市場規模は、今2020年には4倍の680億円市場になると見込まれている。
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