資産価格上昇の起源は「実質金利のマイナス化」

株価も金価格もマイナスコストの資本が支える

アメリカ10年金利から消費者物価指数(CPI、総合、前年比)を引いて算出した実質10年金利とNYダウ平均株価および金価格の推移を見てみよう。

実質10年金利は2016年以降は恒常的に1%を割り込むようになり、過去1年に限れば0.5%未満で推移している。2019年はFRB(連邦準備制度理事会)が3回の利下げを敢行した年であり、これに応じてアメリカ金利は名目・実質の双方で低下軌道をたどった。

この際、株価が押し上げられたことは注目されたが、実は金価格も上昇していた。しかし、現在のような記録的高値ではなかったため、さほど耳目を集めなかったのである。しかし、アメリカ金利の低下は確実に金価格を押し上げているように見受けられる。

実質金利はいずれマイナス圏へ

ちなみに、米10年金利と実績ベースのCPIを使った実質10年金利は今のところかろうじてプラス圏(6月時点で+0.01%)を維持しているものの、この際、4月以降のCPIは原油価格急落により1%以下で推移しており、それ自体が異例の動きにあることを理解しておく必要はある。もちろん、名目金利はFRBの怒涛の利下げによって水準が切り下がったが、CPIも原油価格の急落で落ち込んでいる。

名目金利、物価の双方が幅を伴って落ち込んだからこそ、実質金利が横ばいで済んでいるという理解は持っておくべきである。ちなみに、コロナショック直前である今年1~3月期のCPIは平均で前年比プラス2.1%だった。2019年通年でもプラス1.8%である。今後、経済が緩やかに復調していくという大方のシナリオが実現すれば実質金利はマイナス圏で常態化するだろう。

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