東大生から見た「地頭がいい人」の典型的な特徴 大切なポイントを見つけ、背景を知り原因を探す

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サンフランシスコの人たちが「この土地の歴史は1849年から始まった」ということを誇りに思っているからこそ、その名が浸透しているのである。そして、そこから数年かけて日本に開国を迫る準備をし、クリミア戦争でヨーロッパ人が手出しできない状況下で日本に訪れたと推測できるのだ。

このようにさまざまな要因が重なったからこそ、1853年にペリーが来航したと考えられるということで、これらの要因を理解しておけば、ペリー来航周辺に起きたことの根拠などを記憶しやすくなるわけだ。

そりゃあ、丸暗記すれば、一瞬で終わります。「1853年!ペリー来航!」と口に出して、語呂合わせをつくって、紙に書いて覚えるのは簡単です。
でも、それはクローゼットの中にとりあえず服を突っ込んでいるのと同じなのです。それではいざというときに記憶の中から取り出すことはできず、すぐになくして(忘れて)しまうのです。
そうならないためには、「急がば回れ」の理論で、僕らはきちんと物事の「原因」を探さないといけないのです。(47〜48ページより)

物事には、単純な「原因と結果」では説明がつかない「背景」が存在しているということである。なんにせよ、物事をより深く理解し、重要な情報を引き出す「要約」を行うためには、「背景」を知ることが重要なのだ。

東大生がやっていることはとてもシンプル

だが要約といっても、決して難しいものではないようだ。それどころか、東大生がやっていることは非常にシンプルなのだという。

・具体的な中身に入る前に、それに至る「流れ」を理解する
・その「流れ」の中で、具体的な中身がどのように位置づけられるかを考える
・この2つのプロセスの中で、重要なポイントを探し、ラインマーカーを引くようにその点を重点的に見て、覚え、まとめる(75〜76ページより)
『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』は、発売4日で5万部のベストセラーとなっている(書影をクリックすると、アマゾンのページにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

これこそが、東大生が要約をする際に行っているプロセス。しかし当然ながら、それは東大生だけにしか通用しないものではないはずだ。要約の習慣とスキルを身につけ、活用することは、ビジネスパーソンにとっても大きな意味があるはずなのである。

そもそも『東大思考』というタイトル自体が大それているだけに、最初の段階で「自分には無理かもしれない」と感じる方もいらっしゃるかもしれない。正直にいえば私も最初は、どこかひとごととして捉えていた部分がある。

だが西岡氏が言うように、「頭がいい人」とそうでない人を分かつのは“ほんの少しの、小さな差”であることを本書は教えてくれる。別な表現を用いるなら、頭の使い方を少しだけ変えてみればいいのだ。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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