50代からの起業「不向きな職種」「向く職種」の差 起業に成功したアラ還7人のケースを一挙紹介

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K田さんを傍から見ていると、生活のために稼ぐ仕事と、ほとんどボランティアのようなマンガの仕事をバランスよく手掛け、毎日忙しくしている姿は「暇つぶし」に明け暮れる定年退職者の対極にある存在だと思えます。

次に紹介するI宮さんは、大手企業の本部長職を50歳目前で退職しました。辞めた本当の理由は、「ヒマラヤに行きたかったから」だそうです。3カ月間かけてヒマラヤ遠征をしたいけれど組織にいたらできないので、というわけです。

I宮さんはその後法人を立ち上げ、企業のアドバイザーとして本部長時代の年収を確保しつつ、レストラン経営や農産物の産直事業などを62歳まで継続しました。その後はゴルフ、旅行、冒険、映画制作など、楽しく充実した日々を過ごしています。

そんなI宮さんは、50代となった後進に、「『やりたくないこと』と『やりたいこと』のバランスを50:50にするように」と、アドバイスしています。

I宮さんの定年後前半の基本コンセプトは「都会と農村とのデュアルライフ」だったと推測します。

「『やりたくないこと』と『やりたいこと』のバランスを50:50に」と同様に、「大都会で活動する時間と、農村で活動する時間のバランスを50:50にする」というわけです。

「お母さん、そのままじゃ死んじゃうよ」

C子さんという女性は大学卒業後、営業系の会社で働きました。結婚、産休、育休、時短勤務を経て、子どもの手が離れたタイミングで転職。その後さらに2社ベンチャー企業を経験しました。

ベンチャーの役員として部下を育て、動かすことにホトホト疲れていたとき、息子さんから「お母さん、そのままじゃ死んじゃうよ」と言われ退職を決意。50歳になる前に、コーチングをメインにした研修会社を起業しました。

最初から研修会社にする予定だったわけではなく、業務内容も漠然としたまま会社だけを立ち上げたのですが、「研修講師が足りないから」と知人から助っ人を頼まれたことがきっかけで、研修会社になっていきました。結果的に「◯◯の会社になっていく」というのは、起業の場合はよくあるパターンです。

コーチングやキャリアカウンセラーの資格も取りましたが、彼女の研修のコアは、「部下をやる気にさせるには、まず自分が変わる」という原体験です。受講者を引きつける内容で、還暦を目前にした現在でも好評を博しています。

ユニークな起業系としては、N田さんは50代で商社を退職後、パチンコホール向けのワゴンサービスの会社を起業し、店長に気に入られるために閉店後の掃除を手伝うなどして安定的に業績を伸ばしました。

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