製薬71社が大学に年200億円も寄付金払う事情 製薬会社・大学別奨学寄付金ランキングを公表

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患者の保険外検査を奨学寄付金で補填

関東の大学病院の血液内科で働く医師は、研究自体に使われている寄付金は一部で、研究室の運営資金に充てることが多いと話す。「年間800万円ほどの奨学寄付金を受け取っても、300万円は統計やデータの処理をする研究室のスタッフへの人件費に消えます」。

だが300万円使っても500万円は残っている。何に使うのか。

その教授は、深刻な表情で言う。

「保険が適用されないが、診療のガイドラインでも勧められていて患者さんに必要な検査がある。しかし、患者さんの治療で一部でも保険外のものがあれば、すべてが自費負担になる『混合診療』になってしまう。患者さんが高額な費用を負担できない場合は、奨学寄付金で補填するんです」

例えば血液内科の場合、移植手術をした後に免疫の落ちた患者さんが肺炎にかかることがある。その治療の際に行う検査は、保険の適用外のものもある。しかし患者の命を左右する場面では、お金がかかっても検査をするしかないという。

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