コロナ禍で「住まい探しの条件」が変化する背景 在宅勤務が物件選びにも大きく影響している

✎ 1〜 ✎ 84 ✎ 85 ✎ 86 ✎ 最新
拡大
縮小

先ほどのリクルート住まいカンパニーの調査では、住み替えるなら「マンションか一戸建てか」、重視するなら「広さか駅距離か」という究極の選択を聞いている。その結果は以下のようになった。

●住み替えるなら「マンションか一戸建てか」
2020年5月調査:一戸建て派63% マンション派22%
2019年12月調査:一戸建て派56% マンション派32%
●重視するなら「広さか駅距離か」
2020年5月調査:広さ派52% 駅距離派30%
2019年12月調査:広さ派42% 駅距離派40%

以前は広さ派と駅距離派が拮抗していたが、ここにきて広さ派が一気に増えて、広さと部屋数の確保しやすい一戸建て志向が強まったということがうかがえる結果だ。

従来は70㎡でも2LDKを希望するなど、部屋数よりも居室の広さを好む傾向が強かったことを考えると、個室を確保できる部屋数志向へと大きく転換したと感じる。

郊外・自然志向も高まっている

そして、住まい選びの立地条件といった街へのニーズにも変化が表れる。先ほどのミサワホーム総合研究所の調査で「今後の暮らしや住まいに求める要素で、変化があったか」を聞いた結果を見ると、次の項目のいずれも「そう思う」が多数を占めた。

「今後の住まいに求める要素で、変化があったか」
・「場所にとらわれない働き方が良いと思うようになった」76.5%
・「住む地域として、人口が密集した都心部よりも自然豊かな郊外が良いと思う」   64.6%
・「親、きょうだいなど親族と近い距離に住む方が良いと思う」68.3%

最寄駅からの距離が離れても、都心部から離れても、家族の時間、わが街で過ごす時間が充実したほうがよいということだろうか。郊外だけでなく、「新幹線通勤」の復活、居住地と都心部の「2地域に拠点」を持つニーズが生じるかもしれない。

一方、内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」結果を見ると、20歳代の地方移住の関心が高まっていることがうかがえる。東京圏では27.7%、大阪・名古屋圏では15.2%だが、東京23区に限ると35.4%もの20歳代が地方移住への関心が高くなったと回答した。

また移住・関係人口促進のためのマッチングサービス「SMOUT」(カヤックLiving運営)の新規登録者が5月から急増し、6月は4月比で2倍以上に増え、中でも東京都在住の新規登録者が急増したという。こうしたデータからは、東京からの「移住」ニーズが増加したことがうかがえる。

次ページ住宅の性能のニーズも多様化
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT