NTT社長が語る「世界分断化」への強い危機感 澤田社長「新グローカリズムが台頭する」

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さわだ・じゅん/1955年生まれ。京都大学卒業後、日本電信電話公社(現NTT)入社。NTTコミュニケーションズ副社長、NTT副社長を経て、2018年6月から現職(編集部撮影)

――そうした変化が、NTTグループの事業のあり方、方針にどのような影響を与えますか。

まず、DX(注:デジタルトランスフォーメーション=デジタルを活用した変革のこと)の推進は以前からやってきたが、それを加速していきたいのが1つだ。われわれのツール、ソリューションを提供することで顧客のデジタル化を支援する営みを拡大させる。

例えば、もともと人手不足の農業などはリモート化によって生産性を向上させるお手伝いをしたいし、建設業ではこれまでもトラクターやブルドーザーなどを遠隔で使えるようにするサポートをしてきた。こうしたことは内需の拡大への貢献にもつながる。

NECと半導体を作りたい

――コロナ以前から取り組んでいる再生可能エネルギー事業は、通信事業の次の柱を育てる意味もあったはずですが、エネルギー自給の観点からも必要性が増した印象です。

再生可能エネルギー事業は、サプライチェーンが分断され、たとえ(火力発電に必要な)油が絶たれても自分自身で発電所を持つことになるので、意味が大きい。まずはグループでの自給率を今の4.5%から3割まで引き上げたいと考えている。

当社は日本全国で1%の消費者なので、その3割が再生可能エネルギーになれば押し上げ要因にもなる。かつ、ほかの企業にも提供したい。志を同じにする企業が増えていえば、日本の再生エネルギー率、国内自給率が上がり、安定化するだろう。再生エネルギーはESGの観点ももちろんあるが、自分たちや国のサステナビリティにもつながっていくものだ。

――6月下旬のNECとの資本提携会見(注:NTTがNECに約5%出資し、5Gや次の通信規格の6Gの技術開発で協力するという資本提携)でも、国内で信頼されるサプライチェーンの構築が必要であるという趣旨の発言をされました。

コロナでそういう必要性が高まっているのは間違いないだろう。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

NTTは通信会社でメーカーに出資するのは変じゃないかという見方をする人もいるようだ。確かに、もしドコモが出資したら変なのかもしれないが、うち(NTT)が出資するのは理由がある。

新しい製品をグローバルに展開するものを一緒につくりたいと考えており、それは半導体だ。DSP(デジタル信号処理用半導体チップ)にNTTは強く、ファーウェイにも売っていた。いまシェア1、2%くらいだがもっと広げたいので、NECや富士通のエコシステムに入って、彼らが光伝送装置を売ればうちも売れるみたいな、そういうモデルを国内でつくっている。日本へのサプライチェーンの回帰という意味でも、連携をしっかりやっていく。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「顧客のIT投資がどうなるか」「コロナでスマートシティの需要がどう変わるか」についても語っている。
奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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