ワーママを悩ませる「夏休み短縮」以上の大問題 4人の母親が明かす"コロナ下の夏"の心持ち

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小学校の夏休みは例年の約半分の21日間。だが、「これまでも夏休みは学童に毎日行かせていたので、特に変化はない」と日野さん。「お弁当が必要な学童よりも、給食があるほうが働く母にとっては都合がいい。学習が遅れるのも心配なので、本当は夏休みがなくてもいいくらい」と苦笑いする。

小4の長女は塾の夏期講習に通う予定だが、夏休みの短縮に合わせて日時が再設定されたので、特に支障はない。お盆の恒例行事だった夫の実家への帰省も、感染拡大を懸念して今年は見送ることにした。

夏休みの日数よりも影響の大きな要素

だが、夏休みを前にして、夫婦ともに疲労の色がぬぐえない。

「どちらもテレワークできる環境だったので休校や登園自粛にも柔軟に対応できましたが、4歳から9歳までの3人の子どもがいて仕事がはかどるわけがありません。学校からの課題もオンラインで閲覧するものが中心だったので、小学生ができるわけもなく……。家族5人分の食事を3回つくって片付けて、仕事をして、勉強を見て。夫婦ともにもう毎日グッタリでした」

ここへきて再び感染が拡大しているというニュースに、不安がないわけではない。とはいえ、学校が夏休みを削ってでも授業の遅れを取り戻そうとしてくれたことは素直にありがたいと感じている。怒りの矛先が向けられたのは、急な休校を決めた政府に対してだ。

「『テレワークすれば子どもの面倒は見られる』と政治家は思っていたのかもしれません。でも、実際に子どもを横に置いて仕事をすれば、どれだけ大変か実感できると思います。準備不足のままいきなり休校を決定した政府の対応には、いまだに疑問を感じています」

会社の評価制度に対しても、不信感がぬぐえない。「家族の面倒を見ないでも済む社員と、私たちのように小さい子を抱えている社員の仕事ぶりが比較されてしまうのは、あまりにもナンセンス。感染拡大の状況によっては、今後いつまた休校になるかもわかりません。子育てと仕事の両方を完璧にこなすのは難しいことを、会社にはもっと認識してほしいです」と日野さんは語気を強めた。

ここまで3人の母親に話を聞いて見えてきたこと。それは、働く親にとって夏休みの日数よりもテレワークの有無や運用方法が大きな影響を及ぼすのではないかという点だ。

テレワークから通常勤務に戻って不便さを実感している場合もあれば、テレワークを理由に「仕事も育児も、子の学習さえも押し付けられた」と感じる場合もある。

7月26日、西村康稔・経済再生担当相は新型コロナウイルスが全国的に再び増加傾向であることを踏まえ、各企業がテレワーク率70%を目指すように経済界に要請すると話した。また、これに先駆けて17日に政府が発表した骨太の方針では、今後もテレワークを加速・定着させるために数値目標を設定すると明記されている。

だが、いくら政治家が数字を示そうとも、そして企業がそれに従おうとも、テレワークが抱える課題が解決するわけではない。テレワークで「幸せな働き方」を実現するのにはどうしたらいいのか。そのヒントとなるような体験を話してくれたのは、中3、小3、小2の3人の子を持つ土井さん(仮名)だ。

土井さんはIT企業でエンジニアとして第一線で働きながら、人材育成の業務にも携わっている。小学校の長期休校が決まった2月末から現在まで数回出勤したのみで、完全テレワークという勤務状況。来年度の採用や研修の実施形式の変更といったコロナ禍に合わせたタスクも増えて、通常よりも忙しい状況が続いている。

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