安倍首相、「1カ月半ぶり会見」で狙う反転攻勢 G7、党・内閣人事前に8月原爆忌で記者会見へ

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安倍首相が最後に記者会見したのは国会閉幕翌日の6月18日。当時は感染第2波の兆候もなく、「真夏になれば収束」との淡い期待もあった。しかし、7月に入るころから東京で感染が再拡大し、GoToトラベルの東京除外を決断した同16日の東京の感染者数は、過去最多となる286人を記録。同23日には366人まで急増し、国民の恐怖感をかき立てた。

このため、旅行客を迎える観光地に不安が広がり、対象外とされた東京都の小池百合子知事だけでなく、大阪府の吉村洋文知事からも開始時期の見直しや地域限定での緊急事態再宣言などの注文が相次いだ。

感染防止より観光業救済を優先

その一方で、安倍首相や事業の推進役となった菅義偉官房長官は、「ここでやめたら事業そのものができなくなる」(政府筋)との焦りから、感染防止より観光業救済による経済回復を優先したのが実態だ。

全国的な感染再拡大を受けて、安倍首相は7月24日、官邸で記者団のインタビューに応じた。感染拡大阻止に向けて「まずは徹底検査」と強調したうえで、緊急事態宣言の再発令については「高い緊張感をもって注視しているが、あの時(4月の宣言時)とは状況が異なり、再び今、緊急事態宣言を出す状況にはないと考えている」と否定的な考えを示した。

安倍首相の言う全国的な徹底検査を実施した場合、感染者数は「早晩、東京で600人超、全国で2000人突破は確実」と専門家も予測する。東京で過去最多となった7月23日の検査数は5000件近くだったが、その後は検査数が1000件程度に対して感染者が200人以上となるなど、陽性率も跳ね上がりつつある。

感染者数が倍増すれば、それに伴って入院者・重症者数が急増し、全国レベルでの医療態勢逼迫につながる可能性も指摘されている。

そうした中、安倍首相らが注目するのはに木曜日に東京の感染者が増えていることだ。東京で過去最多を更新した7月16日、同23日はいずれも木曜日。政府部内では「もし、小池知事が検査数を意図的に調整すれば、次の木曜日の7月30日、その次の8月6日の最多記録更新もあり得る」(政府筋)と勘繰る向きもある。

コロナ担当の西村康稔経済再生相は7月26日、7月30日にもコロナ対策の分科会で専門家の意見を聞いたうえで、8月5日に有識者会議を開催する方針を示した。東京や全国での感染者急増を念頭に置いた措置とみられるが、状況次第では5日の有識者会議の分析を受けて「同日中に首相記者会見を開くための環境整備」(自民幹部)とのうがった見方も出る。

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