「いったいこの事件はどうやって起こったのか?」と想像を膨らしながらドラマを楽しめるように、日本のHuluの公式ページでは「あやしい人」投票企画まで作られています。投票数を見ると、最も「あやしい人」は山下智久演じる「アキ」がダントツ。これはもう人気投票に近いものがありますが、「あやしい人」として、遺体で発見されてなかった残りのメンバーや不倫に走ってしまった中年女性の隊員役などにも票が集まり、1人ひとりの人物像もしっかり描かれた同作の世界に入り込んでしまっている様子がうかがえます。
今年の「スペイン最大級のドラマ」と評価
Huluオリジナルドラマとして打ち出され、日本が製作に参画するドラマでありながら、日本が語られるパートは一切ありません。日本色を強いて言えば、山下演じるアキがポツリと日本語でつぶやくシーンと、アキの部屋に置かれた日本のマンガやスマホのカバーに「鉄腕アトム」が描かれていることぐらい。しかも、山下が主役というわけでもありません。
そもそもこのドラマの企画はヨーロッパ最大手の独立系映画・テレビ製作会社のメディア・プログループの「メディア・プロ・スタジオ」の主導により実現に至った経緯があります。
メディア・プロはウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』などにも携わり、グループ全体で2019年の売上高は18億ユーロ(約2200億円)にも上る世界的ヒットメーカー。ここに所属し、イスラエルで『HOMELAND/ホームランド』の現地版をヒットさせたラン・テレムが発起人となって製作総指揮を務め、スペインで実績のある監督と脚本家、イギリス、デンマーク、アメリカ、アイルランド、スペイン出身の俳優陣をそろえたのです。出演者の1人にはNetflixオリジナルシリーズの世界ヒット作『ペーパー・ハウス』でキーパーソンを演じたアルバロ・モルテもいます。
そんなわけもあって、製作発表時から業界内ではヒットしないわけがないだろうといった見解がありました。アメリカ大手エンターテインメント誌のVarietyが「2020年にリリースされるスペイン最大級のドラマの1つ」と評すほど。
2019年10月、フランス・カンヌのテレビ見本市MIPCOMで山下を含め『THE HEAD』の製作・出演者メンバーがそろって出席したトークセッションが企画されたときもまさにそんな勢いがあったことを現地で確認しています。ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の製作総指揮ダーレン・スターの新作発表なども行われるなか、「#thehead」がMIPCOM 2019最大のSNSトレンドにもなっていました。
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