ゴールドウイン、コロナ後のアパレル生存戦略 店舗づくりで重視する顧客との非言語の対話

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――コロナ禍でどんな新しいアイデアを生み出したのでしょうか?

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

1つは、まだ世の中にない、「体験型」とでも呼べるようなEC(ネット通販)サイトを作りたい。EC事業はノース・フェイスとして初の路面店出店がうまくいかず、悩んでいたときに生まれたアイデアだ。2001年に出店した福岡店は売り上げが伸びず、福岡店舗内の一角から全国に向けて販売しようと始めた。

具体的なことはまだ言えないが、リテール立て直しのため、来期以降、新しい2つのコンセプトの店舗を作ろうと考えている。

新型コロナの前から、いくらノース・フェイスが好調だからといって、同じことの繰り返しはよくないと考えてきた。新しいアイデアの実現のため、AIのようなテクノロジーが必要だというなら戦略的に取り込んでいきたい。

ノース・フェイスは学生時代から憧れだった

――創業者がトップの企業に入社し、プロパー社員として38年間勤めてきて、社長になりたいと考えたことはありましたか。

わたなべ・たかお/1960年千葉県生まれ。1982年大学卒業後、ゴールドウイン入社。ノースフェイス事業部長、アウトドアスタイル事業本部長などを経て、2020年4月に社長就任(撮影:今井康一)

それはない。1960年代にアメリカ西海岸で誕生した本格派のアウトドアブランド、ノース・フェイスは私の学生時代からの憧れだった。そのノース・フェイスと契約を結び、日本で事業を展開しているのがゴールドウインだと知り、入社した。

そこからはアウトドア事業一筋。自分の得意分野はアウトドア事業だという気持ちが強く、社長として会社全体の戦略を考えるという感覚は持っていなかった。

ただ元来、僕は長期的に物事を見る人間で、これまでも10年、20年というタームで戦略を練ってきた。

例えば構造タンパク質素材を作っているスパイバーに2015年出資した。この素材は、30年後に世界の考え方が変わり、デファクト・スタンダードとなっているような要素技術だと感じた。社長となった今では、この構造タンパク質素材をスポーツアパレルにおける新たな市場展開につなげる必要性があると強く感じるようになった。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「コロナ後の生活様式の変化」「研究開発施設の狙い」「商品企画や店舗作りの考え方」などについても語っている。
中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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