「FF7リメイク」遊んで感じたたった1つの違和感 あえて作品のリアリティ削いだのは意図的か

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一方で、現代風にアップデートされていない部分も気になった。CGがきれいになり、キャラクターがリアルになると、リアルさとゲーム的表現にギャップが生じる。マンガやアニメ作品などが実写映画化されたとき、原作では格好いい決めのセリフが、実際の役者がやるとすごくマヌケに見えてしまう。それと同じことがFF7Rでも起きているのだ。

例えば、旧作ではアバランチのリーダーでもある、右手を銃化した大男「バレット」が、序盤で大げさなセリフを吐くことが多かった。リメイクにあたって改善されると思ったが、FF7Rではとくに手が加えられているわけではない。

ほかにも、最初に訪れる街に存在していたNPC(ノンプレイヤーキャラクター)や、駅前のカップルなど旧作に出てきた脇役たちがとくに意味もなく旧作同様に配置されており、違和感を覚えた。旧作ではチュートリアルの役割を果たしていたが、本作にはそれがない。

さすがに旧作をプレイしたのは20年以上前の話なので、大まかなストーリーや展開は覚えていても、細かい部分はほぼ忘れてしまっている。しかし、旧作のキャラクターが出てくると「ああ、そういえばこんな感じのキャラいたな」と、懐かしく思い出す。もしかするとあえて旧作の雰囲気を残したかったのかもしれない。

どんな人ほど楽しめる?

つまり、旧作をプレイした人にとって、当時の記憶を思い出させる作りになっているとも言える。そうした点で、FF7Rを遊んでとくに楽しめるのは、かつて旧作を遊んだが、現在はあまりゲームに触れていないという人たちである。

10代、20代の頃は寝食忘れてゲームをプレイし続けていた人も、さすがに30代、40代と年を経るにつれてゲームから遠ざかっていくもの。さらにゲームは昔よりも遥かに複雑なものが増えたので、改めて手を出す機会も少ない。

そんな中年世代にとって、昔のテイストを残しながら、ゲームシステムが近代化されたFF7Rの存在は、最新ゲームへの橋渡しになるに違いない。

逆に最近のゲームに慣れ、FF7を古くさいと感じる若いゲームファンたちにとっても、過去の名作を現代のゲーム感覚でプレイできる、またとない機会とも言える。

かつてドット絵からポリゴンCGへの橋渡しを担い、ゲームファンたちを新しいゲーム体験に誘ったFF7。リメイク作である本作も過去のゲームファンと、現在のゲームファンの「橋渡し」を担おうとする意欲作と言っても過言ではない。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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