発達障害「家族だけで解決するのが超危険」な訳 子供を「叱る」よりもまずは「離れる」を選ぼう

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最終的には、本人が「これはまずい」と自覚して、自分から「変わろう」と思わない限り、本人の行動は変わりません。

親が援助する姿勢は大切ですが、同時に「家族が口で言っても、簡単には変わらない」ことは認識しなければいけません。家族にできないからこそ、病院などほかのアプローチが用意されている、と考えてください。

実はASDやADHDの治療をきちんとすることによって、さまざまな問題行動が少なくなっていくことは珍しくないのです。

治療をするうえで「いちばん避けたいこと」

そしていちばん避けたいのは、繰り返しになりますが、家族間の関係が悪くなることです。

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病院で治療をするにしても、家族との関係が良好のほうが、問題の解決につながりやすいことは明らかです。口ゲンカばかりしていたら、治療の相談もできませんから。

父親と3人の子ども、合わせて4人が発達障害、というご家族の話です。息子さんふたりは、学力は十分なのですが、まったく勉強しないで家に引きこもりの状態。

とくに長男は父親に反抗的で、「俺が勉強できないのは、親父のせいだ!」と父親を非難してばかりいます。娘さんは、軽度の知的障害とASDを抱えています。

また、このお父さんがしょっちゅう子どもを説教するので、親子関係は険悪になる一方でした。実は父親にも、ASDとADHDの両方の特性がありました。「もう何も言わないようにしてください」と私から再三指示しているのですが、どうしても彼は小言を繰り返すことをやめられないようです。

父の職場での適応は治療によって改善しましたが、子どもたちの発達障害は、なかなか改善が見られないままでした。

岩波 明 精神科医
いわなみ あきら / Akira Iwanami

1959 年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立松沢病院などで臨床経験を積む。東京大学医学部精神医学教室助教授、埼玉医科大学准教授などを経て、2012 年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。2015 年より昭和大学附属烏山病院長を兼任、2024 年より昭和大学特任教授。ADHD 専門外来を担当。精神疾患の認知機能障害、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。著書にベストセラーとなった『発達障害』(文春新書)のほか、『狂気という隣人 精神科医の現場報告』(新潮文庫)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)など。

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