パソナ南部氏が予言、コロナ後の第5次産業革命 5年前、すでに現在の経済状況を予想していた

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――2021年は東京五輪が開催され、2025年には大阪万博もあります。こうしたビッグイベントは経済にインパクトを与えませんか。

経済に対してプラスの影響があるのは間違いない。しかし、雇用の拡大には結びつかないだろう。ロボットやAI技術の発展で人手は余ってしまう。また、世界全体の経済動向に影響されるので、ビッグイベントがあるからといって日本経済だけが大きく回復するのは難しい。

しかし、パソナはここ5年間で不況に対する準備を進めてきたので、今の厳しい状況に立ち向かうことができる。

なんぶ・やすゆき/1952年生まれ。兵庫県神戸市出身。1976年関西大学工学部卒業。1976年にパソナグループの前身であるテンポラリーセンターを設立。近年は地方創生や農業、酪農などに力を入れている。著書に『食の力』『これから「働き方」はどうなるか』など(撮影:今井康一)

――現在のような経済状況を5年前に予想していたのですか。

(1964年に開催された)前回の東京五輪のときも不況になったことから、今回も2020年以降に景気が悪化すると想定していただけのことだ。不況で(パソナグループ全体の)人員が2000人も余ることが予測されたので、大リストラをしなくてすむように地方創生事業の中でも淡路島に力を入れることにした。

農業ベンチャー拡大のため、これまで(パソナグループとして)淡路島で農業用地の購入を進めてきた。カフェやレストラン、アニメのテーマパークをオープンさせて観光客の誘致に取り組んできた。そのほか、若者が集まる国際イベントを誘致して淡路島の存在を海外へ発信している。

淡路島で地方創生の見本をつくる

――淡路島にはあらゆるアニメがそろっていますね。

アニメは日本文化の宝だ。アニメは芸術のあらゆる要素を含む。淡路島ではハローキティのショーと食事を楽しめるシアターレストラン、創作料理のレストランがある。NARUTO(ナルト)やクレヨンしんちゃん、火の鳥などのテーマパークもある。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

そして2020年の注目はゴジラだ。8月に新アトラクションエリア『ゴジラ迎撃作戦 ~国立ゴジラ淡路島研究センター~ 』がオープンする。映画『シン・ゴジラ』のゴジラをモデルに、全長120mの巨大な姿を再現し、参加者はゴジラの体内に潜入するゲームなどを楽しむことができる。(南部氏が)『シン・ゴジラ』の制作担当者と個人的に親しいこともあり、東宝の全面的な協力を得ている。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「経営者と創業者の違い」「人材ビジネスはどう変わるか」「景気回復のために政府に求めたいこと」についても語っている。
田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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