「スタバのコーヒー」少し割高でも売れまくる訳 安易に「値下げ」してもお店が疲弊するだけ

拡大
縮小

セミナーでは、多くの人がスターバックスを300円(実際は税抜290円)、ドトールのコーヒーを200円(実際は税抜204円)と回答し、実際の価格とあまりズレがありません。

スタバの強みは「ブランド価値」

そこで私はさらに質問をします。

「では、ドトールよりもスターバックスのコーヒーを選ぶという人は、なぜ100円も余分にお金を出してコーヒーを飲むのでしょうか?」

ここで考えてほしいのは、100円余分に出す「理由」についてです。その理由について聞くと、「スターバックスのコーヒーを飲んでいると優越感を味わうことができる」「スターバックスは完全に禁煙だから」「ドトールは少し雑多な感じがして落ち着かない」など、さまざまな答えが出てきます。

スターバックスを選んだ人にとって、スターバックスというブランドが付いているだけで、ドトールより100円ほど高い「価値」があるというわけです。個人差はありますが、お客さんは、優越感に浸ったり、雰囲気を味わったりするという「価値」に対して100円余分に払っているのです。

つまり、アマゾンに支払う2000円もスターバックスに支払う100円も、モノやサービスがほぼ同じでありながら、多くお金を払う「価値」があるということです。これこそが“ブランドが効いている証拠”であり、強いブランドには必ずこの「価値」があります。

そして、この余分に支払っているブランドによってつくられた「価値」の部分が、ブランドの“プレミアム”部分になります。「この『価値』に対してなら多く払っていいという金額」のことを、価格プレミアムといいます。

(図表:『ブランディングが9割』より)

ブランド力のある商品を高く売ることができる理由は、この高く売る「価値」の部分を、長期間にわたってしっかりと築き、お客さんに訴求し、お客さんもそれに納得することができているからなのです。

次ページヴィトンが絶対に「値下げ」をしない理由
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT