中国が猛烈に急ぐコロナワクチン開発の最前線 後発組ながら国、軍、民の力結集、安全性は課題
米フィラデルフィア児童病院・ワクチン教育センターのディレクター、ポール・オフィット氏は、不活化ワクチン技術について「実証済みの戦略だ」と指摘。「もし、私が安全で有効なワクチンになる確率が最も高そうな技術を選ぶよう迫られたなら、これにする」という。
ヒトでの治験候補に挙がっている中国のワクチンのうち、国有会社シノファーム(国薬控股)傘下会社やシノバックなどが開発する4種類は不活化ワクチンだ。
現在、治験の最終段階である第3期臨床試験に進んだワクチンはシノファームと、英アストラゼネカおよびオックスフォード大による共同開発の2種類しかない。シノバックのワクチンは、月内に世界で3番目に仲間入りする予定だ。
大規模な治療がしにくいという課題
しかし、新型コロナ感染が封じ込めに向かっている中国では、感染者に薬効があるかどうかを試す大規模な治験が、しにくいという事情がある。
このため同国は海外に目を転じたが、協力に前向きな国はアラブ首長国連邦(UAE)、カナダ、ブラジル、インドネシア、メキシコなど一握りだ。欧州主要国と米国は自前のプロジェクトに専念しており、中国の開発に関心を示さない。
ワクチンの安全性・品質基準についての取り組みもしなければならない。中国は昨年、ワクチン業界の規制を強化する法律を導入し、偽の、あるいは低品質のワクチンの製造・販売に対する罰則を厳格化している。
(Sangmi Cha、Miyoung Kim)
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