われわれの強みはコロナ禍でも赤字にならないことだ。例えば、ベアリングなどは自動車減産などで外部環境が厳しいが、他の製品でカバーできている。自動車だけ、航空機だけ、家電だけではなく、幅広い分野の製品群を持っている。外出が減ってもゲームが売れる。自動車が売れなくてもスマホが売れるというように、ある製品が悪くても他の製品がよくなる。
市場では「選択と集中」がずっと叫ばれていて、私も社長になってからの11年間で何度も「なぜベアリングだけやらないのか」「いつまでモーターをやっているのか」などの批判を受けてきた。
そういうバランスをうまくとるようにまんべんなく製品をカバーするというリスクマネジメントを、私が社長になってから意識してやってきた。製品が多品種で、工場も社員も多国籍というところがわれわれのユニークさであり、こういうときでも赤字にならない足腰の強さにつながっている。今回のことで(これまでの経営戦略が)間違いないという確信をもった。
次の代に花が咲くかもしれない
――コロナ禍でもニンテンドースイッチなどのゲーム機が珍重されました。ゲーム機用部品の好調は予想外だったのでは。
何がよくなる、悪くなるかは予想がつかない。自然体で構えて何があってもそれに対応していく。全体が悪くなることはあるが、どこかが大きく下がっても、どこかが上がる構成になっているので、大きなサプライズはない。

今も何本もの新しい製品やプロジェクトを走らせていて、うまくいくものもあればなかなかうまくいかないものもある。例えば、スマホ液晶向けLEDバックライトはたまたまお客さんのニーズとわれわれの出したタイミングが合い、有機ELの採用が広がって(売り上げが)減ったとはいえ、収益を支えるまでの製品に成長した。
――スマートフォンなどに搭載されるOIS(光学式手振れ補正機構)も増加を見込んでいます。
(2017年に)ミツミ電機と経営統合をするときに、OISの売り上げは200数十億円だった。それが2020年度は1000億円を目標にしていて、今後2~3年で1500億円まで売り上げが伸びる。LEDバックライトの需要がピークアウトする中で、まさに第2のLEDバックライトになっている。これは消費者がきれいな写真を撮りたいと思っているからだ。
写真を撮るときには手が震えるが、それでもきれいな写真が撮れるのはOISで手振れを補正しているから。需要は大きいと思う。
ミネベアミツミの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら