明治安田生命が「業績目標撤廃」に踏み切る理由 既契約者中心に対面・非対面でアクセス

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――営業自粛によって業績にどんな影響があったのですか。

営業自粛や保険金の支払いが与えた財務面の影響はそれほど大きくはない。生命保険業界全体でも、(新型コロナに関係した)死亡保険金や給付金の支払額の合計は約20億円(5月末時点)で、東日本大震災での支払額約1600億円と比べて2ケタ少ない。財務的な影響よりも、(対面営業が制限されるなど)ビジネスを展開していくうえでの制約のほうが大きい。

ねぎし・あきお/1958年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、1981年明治生命(当時)入社。滋賀支社長、営業企画部長などを経て、2013年7月から現職(撮影:今井康一)

今後、経済活動の停滞などで家計収支が厳しくなっている影響がじわじわと出てくるだろう。保険料払い込み猶予期間の延長などを利用する人は、東日本大震災のときよりも多く、家計を圧迫している現状が見て取れる。

実際、顧客からは「保障を継続したいが家計が圧迫されて不安がある」という声が出ている。生保会社としてはそこに寄り添ったアドバイスやコンサルティングをしなくてはいけない。新規契約の獲得など2020年度の業績目標は撤廃し、既契約者との関係を強化するための(顧客へのアクセス件数といった)プロセス重視の目標に変えている。

初めて業績目標値を撤廃

――業績目標を撤廃したことは過去にあったのですか。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

当社としては初めてのことだ。2020年度は営業職員が対面・非対面を通じてアクセスする契約者数の目標値を個人顧客では500万人、団体保険加入者では250万人に変えている。

前述のコロナでの特別取り扱いの案内や保障継続に向けたコンサルティング、保険金・給付金の支払い対応などに取り組む方針だ。

もちろん、新契約獲得の目安を経営陣は持ってはいるが、それをトップダウンで現場に下ろすことはしない。自分たちがどの程度の目標を設定するかは現場の1人ひとりの営業職員の判断に任せている。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「コロナ後の保険営業について」も語っている。
高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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