スズキ、ディーゼルエンジン開発に本腰 インドでのシェア拡大へフィアット頼みから脱却

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一方、ディーゼル技術を提供してきたフィアットにとっては複雑だ。成長市場としてインドの開拓を進めているが、今のところ同社の市場シェアは1%にも満たない。そうした状況もあり、同社のセルジオ・マルキオーネCEOは3月に行われたスイス・ジュネーブモーターショーの記者会見で「スズキはインドで非常にいい仕事をしている。鈴木修会長のためなら何でもしたい」と、スズキへの思い入れを語っていた。

今後も1.3リットルのディーゼルエンジンの技術ライセンス契約は維持されるが、双方の思い描くシナリオには違いが生じているのかもしれない。今回のスズキの独自開発については、「コメントできない」(フィアット広報)としている。

簡易自動変速機も独自に開発

スズキはエンジン以外でもインドに照準をあわせた独自の技術開発を進めている。それが、新開発の簡易自動変速機だ。マニュアル式の変速機に電動油圧駆動機器を取り付けることで、ベースは安価なマニュアル式でありながら、クラッチ、シフト操作不要のオートマチック式と同じ機能を持たせた。インドで増えている渋滞に巻き込まれても、楽に操作できる。

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インドで発売した「セレリオ」

この変速機はインドで2月に発売した新型ワゴン「セレリオ」に初めて導入。通常のマニュアル式モデルより約1割高い価格設定にもかかわらず、現在獲得している3万5000台の受注のうち、新型変速機を搭載したモデルが50%近くを占める。自動車の9割以上がマニュアル車のインド市場で、新たな需要を掘り起こしているようだ。

次は、小型車用ディーゼルエンジンをきちんと市場に投入し、思惑通りに顧客を取り込めるか。スズキの今後を占うカギになりそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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