部下の「弱み」を素直に改善させる意外な方法 叱責や不機嫌な態度は攻撃性を高め逆効果に
「ニコニコ話を聞き、それでもブレずに目標に向かう人」。
腐ったリンゴを無効化する人は、ニコニコと話を聞きます。目くじらを立てて指摘したりはしません。しかも、目標にブレることもないのです。
「じゃあ、どうしようか」「ところで、どうしたら目標が達成できると思う?」このような発言を繰り返し、大変穏やかに接しながら、目標に向かい続ける人物だったのです。
実験を担当した研究員たちは、最初、その存在があまりに地味なので、なぜ腐ったリンゴが無効化されるのかわかりませんでした。
研究が進むにつれて、無効化する人物が「心理的安全性」を高めることがわかってきました。
心理的安全性とは、「攻撃される心配がない」ということです。
腐ったリンゴは、組織内の攻撃性を高めていたのです。
組織内の攻撃性を高めると、組織が仕事よりも「自分を守ること」を優先するようになり、弱みを指摘しても言い逃れなどの防衛策に奔走してしまい、問題が解決しない状態をつくっていたのです。
腐ったリンゴを無効化する人物は、ニコニコと話を聞きながら、ブレずに目標に向かうことで、この組織には「攻撃性」がないことを示し、安心して自分を守るよりも仕事に向かえる状態をつくりあげます。
部下の自己防衛本能を発動させていないか?
部下に仕事を任せようとすると、自分でも無意識に組織の攻撃性を高め、部下の「自己防衛反応」を発動させてしまうことがあります。
問題が起こったら犯人を捜し、ミスを責める。「誰だ、このミスをしたのは。なんでそんなことをしたんだ!」
行動しない部下に対して、「もう知らないぞ、勝手にしろ」と見捨てるような態度を取ったり、言うことを聞かない部下に対して、不機嫌な態度を取ったりする。
上司にしてみれば、部下に事の重要性をわかってほしい、こんな態度を取るほどに大切なことなんだとわかってほしい、という思いからなのですが、こうした強めのアプローチが、組織内での攻撃性を高めてしまうのです。
そこで、この攻撃性をいかに減らせるかが上司の腕の見せどころです。
部下の弱みの改善をするうえで、攻撃性を減らす簡単な方法があります。「白旗あげ法」と呼んでいるものです。
白旗をあげるように、相手に攻撃する意図がない、あなたのことは全面的に承認しているということをあえて示すと、相手は心理的安全性を感じます。
例えば、ミスを責める際も「頑張ってやってくれていたと思うけど」「〇〇さんが悪いとは思ってないんだけれど」と前置きをします。
「このミスは、あなたのミスじゃなくて、組織全体の問題だと思っているんだ」とか、「失敗させてしまったオレが悪いね」といった表現を入れることで、白旗をあげているスタンスを示すことができます。
自分には攻撃する意図がないことを、さっさと提示してしまうのです。たったこれだけのことで、部下は安心し、自分の弱みに向き合うことができます。
組織において、「自己防衛本能」を発動させることには何のメリットもありません。部下に対して白旗をあげ、攻撃の意図がないことを明確に、丁寧に示す。それだけで、部下は自分の「弱み」に向き合い、改善に向かうようになります。
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