値上げにも動じず?高級腕時計の底堅い人気 並行輸入品は2年で3割も価格上昇

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並行輸入品の価格上昇の一因は円安の進行だが、理由はそれだけではない。「日本の並行輸入業者の買い付けルートが少ない中国本土向けにメーカーが正規品の出荷を増やした結果、従来の買い付け地域で品薄となり、価格が上昇している」(仕入れ業者)。

価格上昇後も販売好調

ただし、価格上昇後も並行輸入品の販売は落ち込んでいない。並行輸入品と中古品を扱う腕時計販売店のジャックロードでは、13年11月から14年3月までの販売金額は前年比4割増の勢いを持続した。

背景にあるのは、国内の景況感改善と消費増税前の駆け込み需要だ。百貨店では、高級腕時計の中でも平均単価が高いパテック・フィリップなどの超高級ブランドが売れている。日本橋三越本店でも「全体的な販売点数の伸びに加えて、1000万円を超える非常に高額な時計が好調だ」(宝飾・時計セールスマネジャーの福井啓亮氏)という。

「高級腕時計は嗜好品なので、価格上昇の影響はほとんどない。昨年、正規品との価格差がなくなった時期は売り上げが落ちたが、正規品の値上げ後は販売数量も伸びている」(ジャックロードの大月亮太郎取締役)

とはいえ、4月の消費増税後は反動減も出始めている。ジャックロードでも「駆け込みのピークだった3月に比べ、4月の売上高は6割減になっている」(大月取締役)。

13年には正規品、並行輸入品とも価格が大幅に上昇したが、それでも売れ行きは好調を維持した。3%の増税もこなしてほしいというのが業界の期待だ。はたして思惑どおり、早期に活況を取り戻せるか。増税後も国内景気が堅調を維持できるかが、そのカギを握りそうだ。

「週刊東洋経済」2014年4月26日号<4月21日発売>の「価格を読む」に一部加筆)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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