「クルマの価値観」は、コロナでどう変わったか 暮らし方の変化でクルマニーズが増える理由

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海外を含めて競争が激しくなり、年功序列と終身雇用を守っていたら企業が倒産してしまう。役職や給与は成果主義に変わり、保険のサービスも自由化されて郵政は民営化した。職場で周囲の人たちと同じことをしていたら評価されず、個人にも経営者感覚が求められるようになった。

その一方で、ビジネスとプライベートはしっかり分ける。仕事に役立つ勉強をする目的は、会社のためではなく、自分の成長のため。自分の能力が高まれば、それが会社にも利益をもたらす発想だ。身勝手だという意味ではなく、自分と家族を大切にして、そのうえで会社に貢献する自由と自己責任を伴った、マイカー型の価値観に移ってきた。

今回のコロナ禍と、それに基づくリモートワーク、出勤日数の減少と自宅滞在時間の増加は、近年の働き方改革と相まって、マイカー型の価値観を加速させる。これによってクルマの需要が急増することはないが、かねて進んでいたクルマ需要の低下を食い止める役割は果たすだろう。

価値観は今「100年に1度の大変革」へ

これからは、衰退していく都市部のあり方も問われる。リモートワークが進むと、企業は都市部の高層ビルに広いオフィスを構える必要はない。例えば、4フロアを2フロアに削減するといった企業も増えるだろう。

この流れの中で、東京都などの空洞化を抑えるのに必要なことは、日本の経済を牽引してきた実績をブランドに高めることだ。極端に言えば、京都や奈良のように、かつて果たした役割の大切さを、誰もが認識できる価値として発信することが求められる。

日本橋の上に架かる首都高速(写真:千和/PIXTA)

東京都中央区にある日本橋の上空には、現在首都高速道路が架かっている。これを地下に移して景観を取り戻す工事は、以前は不要なことのように思えたが、東京のブランドが問われる今後は、必要な作業かも知れない。都市と住宅の事情が変わり、その中でクルマも新しい時代を迎える。「100年に1度の大変革」が、いよいよ現実味を帯びてきた。

渡辺 陽一郎 カーライフ・ジャーナリスト

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わたなべ よういちろう / Yoichiro Watanabe

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人たちの視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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