米株急落でも日経平均は「踏ん張る」と読む理由 今の投資家の「心理状態」を分析してみよう
ひとつの理由は長期の値動きだ。日経平均株価の2012年から現在までの月足チャートのサポートライン(下値支持線)を見ると、2012年から続くアベノミクスのトレンドはまだ終わっていない。コロナショックでサポートラインはブレイクされ、相場はいったん終わったかに見えた。だが、急反発ですでに元のトレンドラインに戻り、コロナショックはチャートの「ダマシ」に見える。
「木」が伸びれば「森」も大きくなる
世界の景気を映し出す鏡といわれるバルチック海運指数を見てみよう。年初来の安値は5月14日の393ポイントだった。だが、先週末の1749ポイントは、年初来高値となっている。僅か6週間で年初来安値から年初来高値へと、なんと約4.5倍の急騰だ。経済が動き出したことはやはり大きいのだ。
「下がるはずなのに下がらない」――。今の相場に売り方はイライラしているはずだ。だが、それ以上に、「上がらない相場」に待機資金がウズウズしているのだ。そのマグマの一部が、たとえば先週の半導体関連大手である東京エレクトロン株の上場来高値に現れた。つまり、個別株物色に資金を入れ始めた投資家の動きだ。森は木の集まりであり、木が伸びれば森も大きくなる。個別株高から全体高の構図が見える。
使い道に困るほどのカネ余り状態であっても、高いものは買いにくい。安くなれば、それがテクニカル的にはネガティブな方向であっても、今の買いを中心とする投資家は買って来ると思われる。
今週はどう動くか。26日のNYダウは再び730ドル安となった。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからないテキサス州で、レストランやバーが再び閉鎖されるのではないかという憶測からほぼ安値引けで終了、引け近くでは2万5000ドルを一時割れた。
これを受けて、6月29日の日経平均は25日移動平均(推定2万2360円)を下回る可能性もある。このチャートの形では売り方の仕掛けの理由にもなりそうだ。
もし2万2000円を割れると、次は重要な200日移動平均線(2万1850円)が目の前に迫ってくる。チャートの見方としては、絶好の押し目買いポイントとも言えなくはない。だが200日移動平均を切ったら、弱気派はもちろんのこと、中立派も「ドテン売り」となるかもしれない。
それでも、筆者は、この厳しい経済情勢の中で買っている投資家の行動はそうならないと見る。カネ余り相場であっても、高い時は買い難く、安くなければ買わないのが今の買い方の姿勢だと思う。安くなれば買う待機資金のエネルギーは、テクニカル理論を打ち破ると思っている。
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