外食企業「テイクアウト&宅配」で分かれた明暗 「勝ち組」外食チェーンにも残る宅配の課題

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モスバーガーは2002年に自社デリバリーを導入していたが、フランチャイズの加盟店の中にはその10年以上前から独自に行っていた店舗もある。自前配送では交通事故のリスクがあり、いつ入ってくるかわからない注文のために自社リソースを割くことは非効率だ。そのため、現在はデリバリー業者への外部委託を加速させている。

5月末時点で全店舗の約2割に当たる281店舗がウーバーイーツを取り入れ、六本木などの都心店舗は売上高の3~4割がデリバリー経由だ。出前館を導入している店舗もあり、これらのサービスの対応エリア拡大に合わせて、対応店舗数を拡大していく。

定食チェーン「やよい軒」も持ち帰り拡充

一方、ケンタッキーフライドチキンの既存店売上高は5月まで18カ月連続でプラス。緊急事態宣言の最中は20時までの時短営業を強いられたが、その中でもプラス基調を維持した。

それは、テイクアウトなど店外飲食の売上比率が7割と高かったことが大きい。2017年5月からはウーバーイーツの利用も始め、コロナ直前の2020年1月と比べ、5月の1店舗当たりのデリバリー売り上げは36%も増加。3月末時点で220店舗に導入していたデリバリーを2021年3月までに全店舗の3割弱に相当する300店舗にまで増やす計画だ。

持ち帰りに向いていないとされてきた業態でも、テイクアウトなどの店外飲食を強化する動きが広がっている。

定食チェーン「やよい軒」を運営するプレナスはテイクアウト対応を進めている(記者撮影)

持ち帰り弁当「ほっともっと」と定食チェーン「やよい軒」を運営するプレナスは、コロナ前に2店だった「やよい軒」のテイクアウト対応店を6月には全店舗の約8割に当たる321店にまで広げた。テイクアウト用のメニューも11種から21種に増やしている。

同社は「『ほっともっと』で培ったテイクアウトのノウハウを横展開し、包材調達などのオペレーションを改善することで、おいしさや食の安全面を向上した。最終的に『やよい軒』の売り上げの25%はテイクアウトにしたい」(広報)と意気込む。

ハイデイ日高が運営する中華そばの「日高屋」も、時短営業のあおりを受けて売り上げを大きく落とした。日高屋がこれまでデリバリー&テイクアウトを本格的に展開しなかったのは、中華そばの持ち帰りが難しいことに加え、店舗の立地戦略もある。

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