中国の鉄鋼産業「活況」の陰に見え始めた不安 世界的な景気後退で打撃、経済対策効果に限界

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だが、鉄鋼製品全体の生産は急増しており、今後、市場が供給過剰に陥るリスクがある。

鉄筋の生産は3月中旬以降59%増加。線材の生産も40%増加している。一方で、特に中国南部は雨期に入り、建設現場の鉄鋼需要が打撃を受けるとみられている。

中国南部では8月までモンスーンが続くが、今年は例年より10日早くモンスーン期に入った。すでに様々な地域で水害が発生し、一部の建設現場で作業がストップしている。

コンサルティング会社CRU(北京)のシニアアナリスト、リチャード・ルー氏は「季節要因で鉄鋼消費が低迷する時期に入りつつある。天候次第だが、6月下旬でなくても、遅くても7月からは消費が減少するだろう」と述べた。

鉄筋先物の中心限月は4月1日以降、14%値上がりしている。

建設現場向けの鉄鋼製品の需要が鈍化しつつある一方で、自動車などに利用される平鋼の需要は、世界的な景気後退で打撃を受けている。

鉄鋼を大量に使う自動車や機械の販売は今年、落ち込んでいる。1-5月の中国の自動車輸出は16.9%減。家電輸出は9.1%減だ。

鉄鋼製品の輸出も落ち込んでいる。

需要喚起を模索

中国政府は、海外需要の低迷を受けて、消費喚起策や大型インフラ事業など、経済対策を発表しているが、鉄鋼需要はまちまちで、経済対策の効果に限界があることが浮き彫りとなっている。

INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「中国政府は景気対策に巨額の資金を投じたくないだろう。負債が増えることを意味するためだ」と述べた。

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