「一蘭」スタイルを他のラーメン店も真似る訳 コロナ対策に苦闘する飲食店が打ち出す工夫

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そうした安全面の観点から評価を高めているのが、天然とんこつラーメンの「一蘭」です。「一蘭」といえば、「味集中カウンター」と呼ばれる1人席スタイルが特徴。店員や他の客に気を取られることなくラーメンに集中してもらいたいという意図から、目の前にすだれ、横に仕切り壁がある独特の客席で、全店で導入されています。この一蘭スタイルが、新型コロナ流行以降、感染予防という観点で脚光を浴びているのです。

「一蘭」で取り入れている「味集中カウンター」が、飲食店のニューノーマルとなりうるかもしれません(写真:編集部撮影)

「一蘭なら安心」「一蘭が開いててよかった」など、ネットでも好意的な書き込みが相次いでいます。本来は純粋にラーメンを味わうための仕組みだった「味集中カウンター」が、お客さんと店員、あるいはお客さん同士の接触機会が極端に少ないという特徴によって効果を発揮し、注目を集めるのだから、世の中わからないものです。実際に、感染症専門家から、仕切り壁は飛沫感染予防に効果があると認められているそうです。

しかも「一蘭」は、このコロナ禍の逆風をつき新店をオープンさせるほどの勢いです。その新店では、除菌マットの設置、キャッシュレス対応の食券機の導入など、一層の防止策が取り入れられています。また、ある店舗で試験的にエアシャワーやサーマルカメラを設置し、効果を検証しつつ、さらなる衛生管理に取り組むなど、全店での感染予防対策により注力していく方針を打ち出しています。

飲食店のニューノーマル

味集中カウンターというストロングポイントに気づいた「一蘭」は、一気に安全性ブランディングで攻勢をかけようとしているのでしょう。コロナ禍における「一蘭」の奮闘は、客足が伸びずに頭を抱える飲食店において大きな勇気となるはずです。

お客さんへの「安心」の提供は、業績面の回復に大きく貢献してくれそうです。また、この「安心」は、当然ながら従業員へも提供されることになります。従業員の安定稼働は、いつの時代も店舗を運営するうえでの大きな財産です。

「ラーメン二郎」が設置した仕切り板のお手本は、どうやら「一蘭」にありました。ほかのラーメン店でも仕切り設置に追随する流れが生まれています。ひょっとしたら数年後のラーメン店では、カウンターが仕切られていることが当たり前の光景となっているかもしれません。そういえば、一部のカフェなどでもアクリル板の仕切りを設置するお店が現れています。

美味しいものをより安全に。ラーメンの味に集中するために開発されたカウンターの仕切りが、「飲食店のニューノーマル」となりうるひとつのカタチを提示しています。

平賀 充記 ツナグ働き方研究所 所長

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ひらが あつのり / Atsunori Hiraga

人材開発コンサルタント/組織コミュニケーション研究家/若者キャリア研究家。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。主要求人媒体の全国統括編集長を経て、2012年リクルートジョブズのメディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。著書に『非正規って言うな!』(クロスメディア・マーケティング)『神採用メソッド』(かんき出版)『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。
ツナグ働き方研究所オフィシャルサイト「ツナケン!」:https://tsuna-ken.com/

 

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