何かと自信を失いがちな女性に欠けている視点 「VERYモデルで起業家」しんまい流・幸福術

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あとは、目標を細分化するというのも意識するようにしています。遠い目標を見上げて、「あんなところまでいけない」と思うと落ち込むじゃないですか。例えば「10kg痩せる」は遠い先の目標すぎて、ほぼ意味を持たない目標になってしまう。でも「ジュースを飲まない」だったらできそうですよね。

そうやって簡単でできそうなレベルまで目標を細かくして、1つずつクリアしてどんどんチェックボックスにチェックを付けていく。それが自信にもつながると感じています。

もう1つ、私ができないことに目を向けるのはやめようと思ったきっかけは、夫です。夫はすごく幸せな人なんですよ。コップに水が半分入っていたときに、私は半分しかないって思ってしまう人なんですけど、夫は半分もあるって思う人。

これって事実は何も変わらないんですよね。だったら幸せに感じたほうがいいに決まっているじゃないですか。それに同じようなタイプの人を客観的に見てみると、できないことに目を向けすぎているだけで、実際にはできていることにも気がつきました。

部下にそういうタイプの人がいるとしっかり仕事をやってくれるからすごくありがたいんですけど、結果を出していても「あれができなかった」「あそこを間違えた」みたいにずっと気にしてしまうから、本人はすごくしんどい。

そこから自分が抜け出して気持ちが楽になったら、パフォーマンスも出やすくなりました。それを実感してからは、自分の気持ちを意識的に切り替えるように心がけています。

それでもできなかったことに罪悪感を持ってしまうことはありますけど、だいぶ仕方がないと思えるようになりました。

目指しているゴールが高すぎるのでは?

「ピック・スリー」のテーマの1つは「やれないこと」に対する罪悪感ですが、多くの人が罪悪感を持ってしまっているのだとしたら、ハードルが高すぎるんじゃないかなと思います。目指しているゴールが高すぎるんじゃないでしょうか。

とくに家のことは、もっとハードルを低く設定していいような気がします。「一汁三菜がなくちゃダメ」とか考えてしまうけれど、炭水化物とタンパク質とちょっとの野菜があれば別にいいし、もっというと、頑張って作った労力とおいしさって比例しないんですよね。軽く作ったものを「すごくおいしい」と言われることもある。

私の場合、料理は嫌いじゃないのでつい手の込んだことをしたくなっちゃうんですけど、時々「これをやっても私が満足するだけで、誰もうれしくないか」と思うこともあって。それどころか、残された料理を見て「お母さん悲しい」なんて言ってしまうこともあるんです。尽くせば尽くすほど愛されたいという、ダメな恋愛みたいですよね(笑)。

あれもこれもやりたくなってしまうけれど、私は子どもが小さいうちは「家族」と「仕事」と最低限の「健康」の優先順位をあげて、それ以外は仕方がないと割り切りました。ハードルは低く、できるだけ低燃費でいくのが多幸感につながるのかもしれないですね。

(構成 天野夏海)

申 真衣 VERY専属モデル、GENDA代表取締役社長

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しん まい / Mai Shin

東京大学経済学部経済学科卒。 ゴールドマン・サックス証券株式会社を経て2018年5月、GENDAを共同創業、2019年6月より現職。2020年3月号より、VERY専属モデルとして活躍。女の子のママでもある。

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