橋崩落の上田電鉄別所線「市民パワー」で復活へ 台風で鉄橋が被災、全線再開後に乗客戻るか

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2019年10月の台風19号で被災した上田電鉄別所線の赤い鉄橋。来春の復旧に向けて工事が進んでいる=2020年3月(筆者撮影)

2017年7月の九州北部豪雨で一部区間が不通になったJR日田彦山線は、JR九州と沿線自治体による度重なる協議を経て、鉄道による復旧を断念してBRT(バス高速輸送システム)に切り替えることで事実上決着した。

JR九州が鉄道での復旧、一部を専用道としたBRTへの転換、全線一般道によるバスへの転換の3案を費用とともに提示し、鉄道での復旧の場合は沿線自治体への一部負担を求めたのに対し、自治体は地元負担なしの鉄道復旧を求めた結果、BRTに落ち着いたというものだ。

これに限らず、鉄道事業者と沿線自治体が経営再建や災害復旧に際しての費用負担で折り合いがつかず、結果として廃止になった事例は数多く存在する。

昨年秋の台風で鉄橋崩落

そんな中、2019年10月の台風19号で千曲川に架かる橋梁、通称「赤い鉄橋」が崩落し、一部区間の運行休止とバスによる代替輸送が続いている長野県の上田電鉄別所線では、地元自治体である上田市の積極的な働きかけもあり、復旧へ向けた工事が着実に進んでいる。

別所線は、JR東日本北陸新幹線および第3セクターしなの鉄道が乗り入れる上田駅と、温泉街の玄関口である別所温泉駅を結ぶ11.6kmの路線。東急グループの上田交通の子会社、上田電鉄が運営している。

かつて別所線以外に、丸子線、西丸子線、真田傍陽線など、上田盆地の縦横に全長57.2kmの路線があったが、1972年までに次々と廃止になった。続いて別所線も、マイカーの普及により利用者数を減らしていたことから、1973年に廃止の方針が決定される。

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