アメリカの「三重苦」が「株価急落」を招く懸念

株価は絶好調だが、かなり楽観的すぎないか

だが、そこまで先行きに対して楽観的になるべきではないだろう。

トランプ大統領は貿易問題に「触れなかった」だけであり、将来にわたって新たな関税の賦課を見送ることを保証したわけでもない。一方では新型コロナウイルスの感染拡大に対する責任も含め、中国をかなり厳しい口調で批判しており、中国側がこれに対して断固とした報復措置を打ち出す可能性も高いと見ておくべきだ。

米中が再び対立する可能性は決して低くない

実際、今年初めに貿易合意の第1段階が成立するまでの長い道程の間にも、アメリカがある程度の譲歩をしてハードルを下げても、中国側も強い要求を出しなかなか譲らなかった。最終的にトランプ大統領が激怒して追加関税などのより厳しい措置を打ち出すといったパターンが何度となく見られた。こうしたことを決して忘れるべきではない。

また、中国が今回の全人代で、今年度の経済成長目標を取り下げたのは、もはや目標を実現するために大規模なインフラ投資や財政出動を行う余裕はなく、国内の雇用を何とかして守るのが精一杯だという、苦しい台所事情の表れである。

貿易問題でアメリカに散々痛めつけられたところに、新型コロナウイルスの感染拡大でとどめを刺された格好となった中国経済が、一皮むけば危機的な状況に追い込まれていることは想像に難くない。

しかし、そうした状況下でもなお、アメリカなどからの風当たりが強くなるのが目に見えている香港への国家安全法の適用を打ち出したというのは、それだけこの問題が中国政府にとって譲ることのできない重要なものだということだ。習近平主席は相当の覚悟を持って方針を打ち出したのだろう。

今のところ中国はアメリカの制裁措置に対して「内政干渉だ」と反発はしたものの、具体的には厳しい対応は見せていない。だが、中国の内政に手を突っ込むようなアメリカ側の圧力に対しては、経済のさらなる悪化も厭わない、強硬な報復措置に打って出ることも十分にあり得る。

差し当たっては上下両院で既に可決されたウイグル人権法案を、トランプ大統領が署名し成立させるのかが、大きなカギを握るはずだ。

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