在宅を追い風に?「通勤客減」補う鉄道の秘策 駅ナカや周辺で展開「サテライトオフィス」

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東京メトロは今年2月から富士ゼロックスと共同で、やはり個室型のシェアオフィス「CocoDesk(ココデスク)」を溜池山王、明治神宮前、六本木一丁目などの駅ナカでスタートした。料金は15分250円でJR東日本と同じ。東京メトロは東西線の門前仲町と東陽町の駅近くにroom EXPLACE(ルームエクスプレイス)というコワーキングスペースも展開している。キッズルームも併設され、子連れでの仕事も可能だ。

東武鉄道は6月30日に獨協大学前(草加松原)とふじみ野に「Solaie+Work(ソライエ・プラス・ワーク)」というシェアオフィスを開設する。さらに今後は沿線20カ所以上でサテライトオフィスや個室型シェアオフィスを展開していくという。

東武は仕事と子育ての両立が実現できる沿線にむけて厚生労働省のサテライトオフィスのモデル事業に2017年に参画、ふじみ野など3カ所でサテライトオフィスを運営してきた。利用者のアンケート結果を踏まえて、東武が事業主体となって6月からの本格実施となったのだ。「新型コロナウイルス感染症を受けて今後の計画を決めたわけではない」と東武の担当者は話す。しかし、世の中の流れは間違いなく、東武に追い風だ。

鉄道会社が「通勤」を変えていく

このほかにも京王電鉄は多摩センター駅前にある京王プラザホテル内にサテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA(京王ビズプラザ)を開業し、小田急電鉄も黒川駅前にシェアオフィスを核とした複合施設「ネスティングパーク黒川」を開業している。

また、ブイキューブ、オカムラ、三菱地所などが出資する「テレキューブサービス」がオフィスビルの共用部分などで展開する個人用シェアオフィス「テレキューブ」を導入する鉄道会社も増えている。関東では西武鉄道、小田急などが導入したほか、関西では、阪急阪神グループが3月から梅田や西宮にテレキューブを設置した。

小田急電鉄「ネスティングパーク黒川」の個人用ブース(編集部撮影)

4月から5月にかけて在宅勤務をした人の中には、家の中よりも外で仕事をしたほうが効率がいいと感じた人もいるだろう。もし自宅や最寄り駅の近くにシェアオフィスがあれば、便利に違いない。また、テレワークの進展によって、昼間に外回りした後にオフィスに戻らず、駅ナカの個人型シェアオフィスで仕事をして時間を有効活用するという動きも増えてくるだろう。

在宅勤務やテレワークの進展で通勤客の減少が避けられないにせよ、シェアオフィス事業の拡大でどこまで収入減をカバーできるか。鉄道各社の腕の見せどころだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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