在宅を追い風に?「通勤客減」補う鉄道の秘策 駅ナカや周辺で展開「サテライトオフィス」

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もう少し手軽に満員電車を減らす取り組みとして、東京都の小池百合子知事は「時差Biz」という通勤時間をずらして満員電車を減らすキャンペーンを2017年から始めた。

企業が社員に時差出勤を促進するだけでなく、鉄道会社も早朝の電車を利用した人にポイントを付与する取り組みを始めるなど、企業と鉄道会社の双方が時差Biz普及に向けた活動が進めたが、企業側の参加数が限定的で混雑率が劇的に改善したとは言いがたかった。

しかし、今年は緊急事態宣言の解除後も在宅勤務の推奨や混雑時を避けた出社を推奨する企業が少なくない。鉄道会社も混雑率を「見える化」して、混雑の少ない時間帯の列車利用を呼びかけており、199%といった、定員の2倍も客が乗り込むような混雑はもう起きないかもしれない。

通勤客がラッシュを避けてほかの時間帯にシフトすれば、鉄道会社にとっては混雑対策に対する投資を減らせるので、ありがたい話だ。しかし、在宅勤務やテレワークの進展で鉄道利用者が減るという事態になれば、運賃収入の減少に直結するため、経営上の問題に関わってくる。

小田急は5月14日の2019年度決算の発表時に、コロナ後は「消費者の行動やメンタリティに不可逆的な変化が起こり、コロナショック以前の事業環境には戻らない」と説明し、危機感を募らせている。

鉄道各社が「シェアオフィス」

とはいえ、在宅勤務やテレワークの拡大は必ずしも鉄道会社に逆風になるとは限らない。いくつかの鉄道会社が進めてきたある事業にとっては間違いなく追い風となる。それは鉄道各社が展開するシェアオフィス事業だ。

東急が展開するサテライトオフィス「ニューワーク」の室内(撮影:今井康一)

その筆頭が東急。2016年から郊外の沿線主要駅周辺で「New Work(ニューワーク)」という会員制のサテライトシェアオフィスを展開している。会員企業の従業員には専用のICカードが配布され、入退室時にICかざすことで利用が可能となる。デスク席はフリースタイルで、好きな場所にパソコンを設置して仕事をすることができる。もちろんWi-Fi完備。ファクス・コピーができる複合機も備え付けられている。

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