コロナ後が見通せない人に知ってほしい全体像 激変する力学、債務・為替管理の国際協調カギに

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こうした支出の増加や税収の減少による財政赤字の規模は、すでにリーマンショック時を上回っているが、とくに厳しいのが政治、経済の両面で国際秩序を司る米国だ。

トランプ大統領による対策大規模化への号令もあり、今年の財政赤字は対GDP(国内総生産)比で約25%と第2次世界大戦時並みに悪化する見通しだ。ストックの公的債務残高も対GDP比107.6%(2010年は91.2%)まで悪化し、1945年の118.9%に迫りつつある(ホワイトハウス調べ)。

日本も新規国債発行が約3倍に拡大

日本も例外ではない。足下では、コロナ対策に伴う2020年度第1次補正予算に続き、第2次補正予算の成立も近づくが、これらによる新規国債発行額は実に57.6兆円に上る見込みだ。

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結果、2020年度一般会計の財政赤字は、予算段階で90.2兆円と、アベノミクス以降に続いた30兆円台から一気に跳ね上がる。しかもこれは、コロナ以前に想定した過去最高水準の税収を前提に計算したものであり、今後本格化する税収減を考慮すれば、実際の財政赤字は100兆円を突破する可能性がある。GDPの縮小を勘案すれば、対GDP比で20%近くになる計算だ。

より一般に用いられる基礎的財政収支(国債の元本返済や利払い費を除いた財政収支)でも、2020年度は従来見通しの9.2兆円から66.1兆円に膨張する見通しであることが、財務省によって示されている。

こうしたことから、コロナ後の世界の主要国では、借り換えを含めた大規模な国債発行の消化を円滑に進めていく必要がある。具体的な対応としては、中央銀行が国債の大規模購入によって長期金利をゼロ近傍に釘付けにし、国債価格を安定化させることが必須となってくる。

金融に詳しい読者ならご存じのように これは、リーマンショック後に主要国の中銀がこぞって行ってきた量的金融緩和(QE)と同じことだ(日本ではアベノミクスによる異次元金融緩和が相当)。

すでに3月以降のコロナ対策の一環として、米国では無制限の形でQEが復活し、日欧ではそれが拡大されている状況になっている。QEは長らく、政府の借金を中央銀行が通貨発行で穴埋めする「財政ファイナンス」だと指摘されてきたが、いよいよこの禁じ手は常態化しつつあると言っていい。

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