「生理前に別人になる妻」を支える43歳夫の献身 「喜怒哀楽の激しい人だな」と思っていたら…

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妻と出会ってから結婚までは約半年。その間那須さんは、「喜怒哀楽の激しい人だな」程度にしか思わなかった。

「私は普段から怒ることが少ないせいか、なぜ妻が急に怒り出すのか、不安定になるのかが理解できません。そこで、妻がイライラし始めた日やけんかした日、顔つきが変わった日などを記録することにしました」

結婚して1年経った頃、妻の変化に周期があることに気がついた。妻が別人のようになるのは、生理の前後に集中していたのだ。那須さんがインターネットで調べてみたところ、「PMS・PMDD」という疾患にたどり着いた。

「妻は、生理10日前くらいから眠気や腰痛、イライラ、情緒不安定などの症状が強く出ます。期間中は、家庭では子どもに対して怒り散らし、職場では必ずと言っていいほど両親や姉、他の従業員とトラブルを起こしています。とくに子どもたちに怒りが向いてしまうと本当にかわいそうです。理解しているつもりの私でもつらいのですから、妻の症状を知らない人たちはもっと大変だと思います」

妻は生理前になると、些細なことで怒り始め、物を投げつけたり、壊してしまうことも。那須さんに対しても、一方的に怒り出し、家を飛び出してしばらく戻ってこないことや、「離婚する!」と言って騒ぐことも少なくない。職場では年に何回かは「辞める!」と言って、両親を困らせていた。

「生理前後になると妻は、人の悪い所を探し、自分の気に入らないことや思いどおりにならないことがあると文句を言い、責めたり無視をしたりするので、つねに友人、知人、身内の誰かともめている感じです」

子どもたちも、「ママがイライラしてるときは一緒に居たくない」「どうしたら治るの?」「どうしたら症状が軽くなるの?」と心配している。那須さんが子どもたちをかばうと、当然けんかになった。

「妻は生理前後のたびに『離婚する!』と騒ぎますが、私から『離婚』を切り出したことは一度もありません」

那須さんには、「別れよう」という考えはまったくなかった。

心療内科と婦人科にかかったが……

妻は最初、心療内科へ行ってみたが、医師には「ストレスでしょう」と言われただけで薬も出されなかった。

次に婦人科で相談したところ、「レクサプロ」という主に脳内の神経伝達物質セロトニンの働きを改善し、意欲を高めたり、憂鬱な気分などを改善する薬を処方され、「イライラしてきたら飲むように」と言われた。しかし、イライラしてるときは、那須さんが薬を飲むように言っても、妻は「薬なんて効かない!」「病気じゃない!」と怒り、断固として飲まない。

そこで、低用量ピルに切り替えたところ、少しはよくなったような気がしたが、妻は、定期的に婦人科へ通うことができなかった。

次ページいろいろ試してはみるが…
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