山手線の隣になった「埼京線渋谷駅」の大進歩 渋谷に乗り入れる他社路線との接続も便利に

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乗り換えの利便性向上によるメリットはほかにもある。例えば大宮駅から横浜駅に向かう場合、湘南新宿ラインならば乗り換えなしで楽に移動できるが、運賃は935円(IC乗車券の場合)かかる。ところが、途中の渋谷で東横線に乗り換えれば833円で片道100円以上の節約になる。

山手線の電車と旧埼京線・湘南新宿ラインホーム(右)。ホームの並列化で乗り換えの利便性が向上する(記者撮影)

渋谷駅での乗り換えの選択肢が増えたり、ほかの駅での無駄な乗り換えがなくなったりすることは、日常の混雑の分散につながる。とくに輸送障害が起きた場合の効果は大きい。

また、駅の主要な出入口とホームが近くなったことで、慣れない土地で大きな荷物を抱えた成田エクスプレスの利用者にとっては、駅の改札を入ってからホームまでが思っていた以上に遠かった、といった苦い経験もしないで済みそうだ。

渋谷の工事はまだ続く

鉄道路線だけでも、2013年3月の東横線地下化と東京メトロ副都心線の直通開始、そして今年の銀座線ホームに埼京線ホームの移設と、制約だらけの都心の狭い範囲で、短期間にこれほどの大工事が進捗したエリアはめずらしい。

工事が続く渋谷駅東口。白い建物は3月に閉館した東急百貨店東横店。将来は線路を覆うように「渋谷スクランブルスクエア」の中央棟・西棟が建つ(記者撮影)
今後再開発が進む渋谷駅西口の駅前広場(記者撮影)

西口では駅前広場とバスターミナルの整備計画が本格始動する。2027年度には山手線のホームを拡幅し、内回り・外回りが同じホームを使用する1面2線化の工事が完成する予定だ。そのころにはJR線のホームを覆うように渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟も全面開業し、渋谷は大規模再開発の総仕上げを迎える。

埼京線は名実ともに渋谷の中心に乗り入れる路線となった。同じホームを使う湘南新宿ラインや、りんかい線・相鉄線などの相互直通路線も同様だ。

今回の大改造は、再開発でまだまだ進化を続ける渋谷へのアクセス路線として、埼京線はじめ各路線の沿線価値向上につながる支援材料となりそうだ。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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