山手線の隣になった「埼京線渋谷駅」の大進歩 渋谷に乗り入れる他社路線との接続も便利に

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従来のホームは1996年に埼京線が新宿駅から恵比寿駅まで延伸した際に新設された。山手線のホームの位置には、当時地上だった東急東横線渋谷駅のターミナルが東側にあってスペースが限られたため、埼京線ホームは南に離れた貨物駅の跡地に設けられた。山手線のホームも1885(明治18)年の開業時から1920(大正9)年の高架化まではこのあたりにあった。忠犬ハチ公の物語は現在の地に移った後の駅前が舞台だ。

渋谷駅新南口は同駅のほかの改札口とは離れた場所にある(記者撮影)

山手線ホームはハチ公改札、中央改札、南改札に直結している。だが、離れた位置にある埼京線ホームは長い連絡通路の先にある中央改札か、南側のホテルメッツがある新南口にしか直接は出られず、山手線や他社線と乗り換える場合は電車を降りてからかなりの距離を歩く必要があった。

このため、埼京線ホームは「南渋谷駅」とも揶揄され、別の駅で山手線に乗り換えて渋谷駅へ向かう埼京線ユーザーも少なくなかった。

列車を運休して大工事

工事は5月29日夜から6月1日未明にかけて実施した。土日の5月30、31日の両日は、山手線は通常運転のまま、埼京線・湘南新宿ラインは大崎―新宿間で終日運休した。駅のすぐ北の高架をくぐる旧大山街道も夜間に一部通行止めにする大がかりな工事だ。

埼京線・湘南新宿ラインの旧ホームは新南改札への連絡通路になる(記者撮影)
旧大山街道の架道橋工事現場(記者撮影)

駅改良の本体工事自体は2015年9月に着手していた。それから約5年、山手線ホームとの並列化で北側に約350m移動した埼京線ホームはハチ公改札や南改札とも直結。従来のホームは新南改札への連絡通路になる。

ホームの移設によるメリットは大きい。山手線だけでなく、渋谷に縦横に乗り入れる他社路線とも乗り換えが便利になる。

国土交通省の「大都市交通センサス」によると、埼京線と東急東横線上りホームとの間の水平移動距離は766.5m、所要時間はオフピーク時でさえ約12分もかかっていた。今後は所要時間の短縮が期待できる。

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