自動ブレーキも対象、安全性能評価は広がるか 欧米ではメーカーの開発方針を左右

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では総合評価については、どのような基準になっているのか。

最低限満たすべき安全基準は、国際的にほぼ統一されている。それ以上の性能については、地域の交通事情(事故被害)に合わせた各国独自の基準による自動車アセスメント(NCAP)で評価し、メーカーに安全性能の向上を促すな仕組みになっている。

NCAPでは、米国のUSNCAP、欧州のユーロNCAPが先行、評価は多くの新型車を網羅し、消費者が車選びの参考にする。自動車保険にも影響し、結果としてメーカーの開発方針を大きく左右することになっている。

新型車のカバー率が低いJNCAP

日本でも1995年のフルラップ前面衝突試験(テスト車の前面すべてを壁にぶつける試験)からJNCAPがスタートし、2003年の歩行者衝突保護、2009年の乗員むち打ち対策など、順次、評価項目が強化されてきた。JNCAPは、欧米に比べて新型車に占める評価車のカバー率が低く、まだ、一般的な知名度も高くはない。

だが、メーカーにとっては気になる存在になっており、予想外に悪い評価が出ると、マイナーチェンジを加えて持ち込み、再評価を受けることも少なくない。今後、JNCAPでもさらに評価項目の拡充が進み、知名度も上がってくれば、安全性能の一段の向上につながるだろう。

なお、既存の衝突安全などの安全性能総合評価の結果は、毎年5月と11月の半年ごとに結果が公表される。そのうち各社の代表的な新型車についての結果を表にまとめた。現時点での最高得点は、トヨタ自動車の「クラウンハイブリッド アスリートS」の189.7点だ。詳細は、NASVAのウェブサイトhttp://www.nasva.go.jp/mamoru/car_search)で確認できる。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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