感染爆発止めた日本が「安心」と評価されない訳 コロナ検査なお脆弱、再拡大に備えられるのか

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保健所の能力が限界を超える一方で、大学からは研究所の活用を申し出る声がある。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は5月6日、動画配信サイトで安倍晋三首相と対談し、「大学などの研究所の力をうまく利用すればPCR能力は10万ぐらいいける可能性がある」と語った。

厚労省は山中教授の提案を歓迎する一方、さらなる検討が必要だとしている。

「非常時だから協力しようという話で、ありがたい。私たちのニーズと現場のオファーをよくマッチングして、協力いただけるのであれば、どんどん協力していただきたい」と、厚労省の迫井正深審議官は語る。

検査件数の少なさを問題視する専門家や研究者の中には、厚労省の医系技官が情報を掌握するため、民間機関と協力したがらないと指摘する声もある。

厚労省の官僚は保健所を通じて質の高いデータを集めたがっていると、キングス・カレッジ・ロンドンの教授で、世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問の渋谷健司氏は言う。

厚労省はこれまでの手法は成果を上げているとの認識

厚労省は、医系技官が意図的に検査数を抑えているという見方を否定。これまでの手法は成果を上げているとの認識を示す。

医師が必要と判断した場合、PCR検査を実施することは重要だと、迫井審議官は言う。その上で、検査を受けやすくするため、3月から保険適用の対象になった点を指摘する。

「件数を伸ばしてゆくフレキシビリティに欠けるという点は分からなくもないが、行政で施策において検査結果を活用するという点では、今の形をやってゆくことが当面必要ではないかと考えている」と、迫井審議官は言う。

しかし、こうしたやり方を危惧する専門家もいる。

「(感染者数が欧米より少ないのは)政策が良かったというよりは、運が良かったと取ったほうが安全だと思う」と、群星沖縄臨床研修センターの徳田センター長は話す。

(Ju-min Park 竹中清、翻訳:エァクレーレン 取材協力:Antoni Slodkowski、宮崎亜巳、村上さくら 編集:斎藤真理、久保信博)

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