感染不安で「さわれなくなった人」の厄介な現状

コロナ禍で物がさわれない「接触障害」の深刻度

“接触障害”になりやすい人を掘り下げていくと、職業的な傾向が見られました。

たとえば、ある20代女性は、「歯科助手の仕事をしていますが、お客さんはマスクをしていない状態で至近距離にいますし、息がかかるのが凄く嫌で、今は仕事を休んでいます。でも、しばらく我慢して働いていた反動なのか、最近は引きこもっていてコンビニにも行く気がしません」と言っていました。

飲食店、小売店、美容院、宅配業、医療機関など、近距離で人と接触する仕事に従事する人は、連日にわたる不安とストレスから“接触障害”となりやすいのかもしれません。不安やストレスを取り除く対策が不十分な職場ほどこの傾向が強いので、我慢せずに進言するか、無理せずに休みをもらったほうがいいでしょう。

次に、「働き方や職場環境が“接触障害”につながっている」という人も少なくありませんでした。

都心部に勤める30代男性は、「絶対に感染したくないから電車に乗りたくないし、絶対に家で仕事したい」「そう思っていたら極端に人との接触を避けるようになってしまった」と言っていました。しかし、掘り下げて話を聞いていくと、「満員電車が本当に嫌いだった」「上司が苦手で顔を合わせたくない」という本音が見えたのです。

この男性は「ずっと嫌だと思っていたことから約2カ月間も解放された」ことが極端な“接触障害”につながってしまったのでしょう。このように生活環境が急激に変わったことで、くすぶっていた不満や嫌悪が顕在化して、“接触障害”につながってしまう人もいて、とりわけ通勤拒否という形で表れる人が増えているのです。

接触回数が減るほど“どうでもいい人”に

もう1つ深刻さを感じさせたのは、“接触障害”によって家族崩壊の危機が訪れてしまった人のエピソード。先日、私のもとに妻から隔離されてしまった40代男性からの相談メールが届きました。

「妻が『通勤でウイルスをもらっている可能性があるから、ソーシャル・ディスタンスは譲れない』と言って2メートル以内に近寄らせてくれないんですよ。5歳の娘が「パパと遊びたい」と悲しんでいるのに指1本ふれさせてくれないし、感染者のように玄関に近い部屋で隔離されるなど、あまりにひどい扱いなので、何度か『離婚したい』と思ってしまいました」
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