「美人が条件」43歳男性の強気婚活が成就した訳 要求水準が高いのにあわせ自分を"大改造"

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「結婚相談所ではルール違反なのですが、お見合いした後にLINE交換を彼女にお願いしました。次に会ったのは2週間後です。彼女は忙しそうでしたが、『ならばお茶だけでも』と誘いました」

4カ月後に交際をスタートし、さらにその2カ月後にはプロポーズして婚約。すべて正弘さんが主導した。

「10回以上会っても最終的に断られるケースがそれまでに3回ぐらいありました。結婚するまでは安心できません」

裕子さんのほうは36歳までなぜ未婚だったのだろうか。正弘さんによれば、彼女は美人だけど愛嬌がなく、「男性に媚を売りたくない」という思いが強い。学生時代はキャビンアテンダントではなくパイロット志望で、実際に航空会社の3次試験にまで進んだ経験がある。30代半ばで結婚相談所に入るまでは男性との交際はあまりなく、「結婚する意味がわからない」と公言していたらしい。

「もともと我が強い人なんですね。でも、僕は『釣った魚』にもエサをあげています。都内の眺望がいい場所にタワーマンションを借りましたから。家賃は月20万円です。東京は何でも高くてびっくりします。冷凍食品が定価で売っているんです。僕は毎朝5時に起きて、埼玉県にある事務所まで車で出勤しています。地元は食品も安いので、ついでに買ってきていますよ」

惚れた弱みでも、結婚生活が幸せならそれでいい

洗練されているとは言い難い発言を繰り返す正弘さん。でも、その愛情は裕子さんにしっかりと届いているようだ。

「あのときに私と会ってくれてありがとう、と言ってくれました。僕のことを優しいとも言ってくれています。以前は女性に優しい人間ではありませんでした。うちは男ばかりの家系で、僕は母とも折り合いがよくありません。女が男に文句を言うなんてありえない!と思っていました。でも、社会人になってからは少しずつ変わりましたね。今では妻の文句を聞き流せるようになっています」

正弘さんが「聞き流して」いることを裕子さんはわかって許している気がする。自らの不器用な性格を認識しつつ、正弘さんの努力と誠意を知っているからだろう。正弘さんは早寝早起きの働き者だが、夜型の裕子さんは深夜1時頃まで起きていて、都内の職場までオフピーク出勤をしている。

「あと10年早く結婚したかったとは思いますね。子育てにも体力はいりますから。でも、いい出会いが少なかったんです。『いいな』と思える女性には必ず男がいました」

幸せそうにボヤく正弘さん。裕子さんのことが本当に好きで、一緒に生活できるだけでうれしいのだろう。惚れた弱み、という古い言葉を思い出す。結婚生活はそれでもいいのだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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