トヨタ社長が語ったコロナで変わる車のあり方

決算説明会で触れた「非接触型社会」への課題

クルマのオンライン販売についても聞いた。

これを機に、自動車業界でもいよいよ本格化しそうだと言われるが、移動手段や道具としてのクルマならまだしも、GRやレクサスといった「愛車」としての要素が濃くなる趣味性の強いクルマは、選んでもらうために便利さだけではない何かが求められるからだ。

「営業面では、ちょうどトヨタ国内の販売店では全店併売をやり始めております。それからKINTOによる定額販売など『クルマを所有する』『使用する』いろんな選択肢を今、用意をしております。そういう中で、レクサスとかGR、特にこの2つにはストーリーが必要かなと思っております。そのクルマを持つ喜びの何かしら物語を商品以外、商品のスペック以上に提案できれば、きっとその感動をともに共感できる商品提供ができるんじゃないのかな、というふうに思っております」(豊田社長)

ブランドとは、要は物語性である。しかし目下、レースでの活躍をブランド力につなげようにも、モータースポーツはまだシーズンを始められないでいる。本物の手触りを伝えようにも、オンラインやバーチャルでは限界がある。

GRはトヨタのスポーツモデルにつけられるブランド(写真:トヨタ自動車)

これからのブランド体験につながるリアルとはどうあるべきか、どうオンライン側に引き寄せていくか、今後のレクサスやGRには、その辺りのアップデートが求められてくるのかもしれない。

当然、これは簡単ではない。しかし、歴史ある海外ブランドも同様に直面している問題だから、ここから抜け出せれば、どこよりも強固な新しい時代の物語を紡いでいける可能性もある。

例えば今回のコロナ禍で、妻子を電車には乗せたくないからと、急遽クルマを買ったという話を何件も耳にした。懇意の販売店に連絡して「何でもいいからコンパクトめで、すぐ納車できるやつを」のような話だ。

国内で言えば、こんな時にオンライン上に解りやすい窓口があり、商談や支払いなども簡単に、確実に済ませられ、あるいはそういう理由なので当面サブスクリプションでいいという人にはKINTOなども結びつけて提案できるような体制があったなら、それはこの時代に求められる物語性の端緒ともなるのではないだろうか。これは単なる想像の例だが、クルマ自体のスペックや魅力だけでは、ますますブランドを語れなくなってきたことは間違いない。

得意のカイゼンで新たな時代を切り開けるか?

「皆さまの困りごとというものが、技術とともによくわかったというのが、今回の体験ではないかと思いますので、1人でも多くの仲間の方々と、こういう問題を解決していただけるように、一緒に協力してやっていきたいというふうに思います」

豊田社長に振られて、寺師執行役員はそう話した。

困りごとや課題がいくつも噴出してきたわけだが、トヨタには得意のカイゼンで、こんな時代だからこそできるやり方で、モビリティの未来を切り開いていくことを期待したい。それは間違いなくトヨタ自身の物語をもまた強固なものにするはずだ。

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