トヨタ社長が語ったコロナで変わる車のあり方

決算説明会で触れた「非接触型社会」への課題

そこでは改めて、自動車というハードウェアを売るだけに留まらず、「移動すべてを網羅する会社への変革」というテーマがクローズアップされる。

何しろこうした状況下では、自動車販売だけの会社にできることは非常に小さい。いわゆるCASEは、より強固に推進されていくはず。人の移動だけでなく、物流に関しても同様だ。あるいはよりアグレッシヴに進んでいくかもしれない。

しかし、豊田社長は釘を刺すのを忘れない。

「非接触型であるがゆえに、全部が自動運転になるのかということではなくて、扱う人間がより楽しく、より豊かに生きることができるクルマ、いわばFun to Driveな方向を目指していきたい」

リアルな世界ならではの豊かさや感動を

パーソナルモビリティには、いろいろな形が考えられる。当然、自動運転もそこに盛り込まれていくのだろうが、トヨタがそれを単なる「A-B地点間の移動ツール」のようにはしたくはないと考えていることは、これまでも再三再四、言われてきた通り。これについては、寺師茂樹執行役員があとでこう語っている。

「今回、人の移動が止まるということはどういうことかを、多くの人が体感、実感したんではないかと思います。特にバーチャルだけではやはり限界があり、リアルの世界がわれわれをいかに豊かにしているか、身をもって体験できたのではないかと」

リモートワークが推進され、通勤の必要が無くなったのに、それがまた別のストレスをもたらして……などと言われ、誰もが単純に人は外に出たい、移動したいんだと痛感させられた昨今。情報が、データが、あるいは物が、やりとりできればいいわけではない。それが人の世だ。

「Woven City」は2020年のCESで発表したコネクティッド・シティ構想だ(写真:トヨタ自動車)

その意味では、トヨタがこれまで手がけてきたことは、大きく変わらないのかもしれない。豊田社長は今年1月に発表したWoven Cityを引き合いに出し、こう言う。

「Woven Cityは、人を真ん中に置いた実証実験です。『MOVE』という言葉は、移動するという意味もありますが、感動するという意味もございます。人が動くことで感動するというのはどういうことか、というクルマづくりをやっていきたいなと思っております」

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