ソフトバンクG、あえて「無配」を示唆した理由 ウィーワークやウーバー評価損で1兆円赤字

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先渡売買契約とは、将来のある時点で、あらかじめ決めた価格や評価日の価格で株を売買する契約だ。先渡契約は売買金額が固定の契約、フロア契約は将来時点の評価日の価格にフロア(下限)がある契約、カラー契約は同じくカラー(上限と下限)がある契約だ。いずれも巨額の売買で株価に影響を与えないようにするための金融上のテクニックだ。

アリババ株以外では、保有するアメリカの通信会社・旧スプリントの株式を売却する計画も進行中だ。旧スプリントは同業のTモバイルUSと4月1日に合併し、新Tモバイルになったばかり。

ソフトバンクGは2020年3月期の決算短信で、これまで「継続事業」の分類だった新Tモバイルの株を「処分グループ」へ分類し直した。処分グループとは国際会計基準(IFRS)の資産分類で、おおまかに言えば、売却などが前提となっている資産だ。

アクティビスト「エリオット」の影

現地紙の報道によると、新Tモバイルの親会社であるドイツ・テレコムへの売却案のほか、市場での売却案などが検討されているようだ。

仮に総額3.2兆円の価値がある(5月18日時点)新Tモバイル株を全株売却できれば、アリババ株の一部売却と合わせて4.45兆円を調達できる。そうなれば、3月に発表した4.5兆円の資産売却計画がほぼ完了することになる。同計画では、資産を4.5兆円売却し、2.5兆円の自己株取得と有利子負債の削減に充てる計画だった。

著名アクティビストであるアメリカのエリオット・マネジメントの影もうかがえる。ソフトバンクG株を約3%保有するエリオットは2020年1月に来日し、孫社長と面会。2兆円の自己株取得と3人以上の社外取締役の設置、そしてSVFの透明性の向上を要求していた。ここ数カ月のソフトバンクGの動きは、エリオットの要求に沿っているように見える。

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