満員電車「まだ乗れる」は今後の社会では恥だ 日本の通勤電車は世界でも有数の「密」状態だ

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「どうしても乗る用事がある」という人もいるだろうから、その場合は乗車前に申し出てもらい、追加料金などで対応できないだろうか。ロンドンの地下鉄は、普段でもピーク時とそれ以外ではかなりの運賃差を設けている。

通勤電車の混雑は終息後も元に戻らないほうがいい。密という点では日本、とくに東京の通勤事情は異常である。名古屋や札幌の地下鉄も混雑するが、混雑するのはそれぞれ栄や大通から2~3駅だけで、そこから先は混雑が緩和する。東京の通勤電車は混雑が長く続くほか、終電辺りでまた混雑する。

先進国では無論、主要国でみても日本の通勤事情はもっとも過酷ではないだろうか。国によってはドアすら閉まらなかったり、遅延や運休が日常茶飯事だったり、路線が長いのに急行がなかったり、乗車前に荷物検査があったりなど、不合理な部分は多々ある。しかし「多くの路線で乗車率の高い状態が長く続く」という点では日本は最悪である。

海外ではNGの行為も

近年はテレビ番組などで、海外に比べて日本のいいところがずいぶん紹介されていているほか、日本人のマナーがよいことも事実である。しかし、何もかも日本が優れていると思わないほうがいい。

たとえば、中国の地下鉄では降りる人がまだいるのに乗ってくる人が多いというのが問題になるが、いっぽうで、日本のような駆け込み乗車する人はいない。日本ではスーツにネクタイ姿の身なりのきちんとした人が平気で駆け込み乗車するが、海外では見ない光景である。

日本では混雑時に、人を押してでも車内に入ろうとしなければならないが、これも海外、とくに欧米ではNGである。そんなことをすれば、男女にかかわらず痴漢扱いされるだろう。日本人の感覚からすると「奥は空いている」「まだまだ乗れる」という状況でも1本待つのがマナーなので日本人は要注意である。

そのため、路線バスでも、それほど混んでいないのに満員通過されてしまうことがある。日本と海外では「満員」の感覚が異なるのである。そもそも海外の通勤電車と日本の通勤電車ではつり革の数にかなりの差がある。

かつて中央線を運行していたオレンジ色の201系が現在のE233系に置き換わって久しいが、201系が寸胴の2800mmの車体断面だったのに対し、E233系は最大2950mmの車体断面で、車両限界の関係で裾が絞られた断面である。車体幅を150mm広げることで、運転席のない中間車両では201系が144人の定員だったのに対し、E233系では160人に増やすことができた。

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