仕事できる人ほど「コロナ疲れに悩む」根本原因 「いつまでも仕事ができてしまう在宅」の弊害

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また、負荷の可視化の範囲を、テレワークの際にはプライベートまで広げる必要もあるかもしれません。

先に述べたように、今は、急に「ワークライフバランス」から「ワークライフミックス」になってしまい、オンとオフの切り分けができずに混乱している状況です。子どもが学校や保育が休みになってしまい、それも仕事の負荷を増大させている可能性も高い。家族が病気になっても、ウイルス感染を恐れて病院に行けずに大変なことになっているかもしれません。

そういった「家庭の事情」などは切り分けて、あまり詮索しないのが「昨今の時流」でしたが、今はむしろそういうプライベートな事情を含めて配慮してあげる必要があるのではないでしょうか。

「結果主義」だけでは足りない

ただ、そういうプライベートな背景を理由にして、仕事に対してどうこう言うのは、これまでの「できる人」にはやりにくいことです。

だから、マネジャーはそういった「家庭の事情」を言いやすい雰囲気を作らなくてはなりません。自分から「家庭の事情」をどんどん伝えていくことも大事です。マネジャーが率先してプライベート情報を開示することで、「そういうことを言ってもいいのだ」「それを理由に何かを要請してもいいのだ」とわかってもらうことが部下の負担を和らげます。

「テレワークになったから結果主義」というのはあまりに雑な対応です。今だからこそ、「できる」メンバーがつぶれないように、その人の生活まで視野に入れてケアをしてあげなければならないのです。

曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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