一方で、「解除」や「緩和」の判断に漕ぎ着けても、反対の声や批判は待ち受ける。
2週間以上にわたって2ケタに抑え込まれていた1日当たりの新規感染者数が、ムヒディン首相が「緩和」を表明したその翌日以降、再び3桁に戻ったことも(5月2日105人、3日122人)、国民の不安感を増す要因となった。海外からの帰国者の感染が多く確認されたことも増加原因の一つではあったが、突然の「緩和」宣言に戸惑う国民の不安を高めることとなった。SNS上などでも「なぜ今“緩和”するのか、まだ感染拡大が封じ込められたとは言い切れないなかでの“緩和”は早すぎる」「私は“緩和”されても、安心できるまで当面stay homeを守ります」などの反対意見が目立つ。
6つの州が「緩和」措置の導入を見送りへ
ちなみに、3ケタを超えたのは2日間のみで、4日以降は再び感染者数は55人(4日)、30人(5日)と減少傾向を示している。とはいえ、すでにサラワク州やサバ州など6つの州が「緩和」措置の導入を見送る方針を示しているほか、条件付きでの導入を表明する州も出てくるなど、各州で対応にばらつきが出てきて、州を跨ぐサプライチェーンなどを含め企業活動にも影響が及ぶことが予想される。「緩和」宣言により開業が許可された飲食店なども、自主的にテイクアウトのみに自粛する方針を示す店舗も少なくない。
感染抑制と経済維持とのバランスをいかに保ちながら、国民の理解と協力を得て「解除」のタイミングを計るか。それぞれの国家が今、厳しい選択を迫られている。
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