マレーシアの経済活動再開に映る強烈な危機感 コロナ感染抑制が奏功した一方、不安も募るが

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活動制限令開始から約1カ月後となる4月15日には、1日当たりの新規感染者数が100人を下回り、その後も、20日36人、21日57人、そして28日31人と、1カ月ほど続いていた新規感染者数1日100人超の状態から、4月下旬は完全に脱する結果となっていた。累計の死者数を感染者数で割った致死率は、世界平均が7%弱とみられるなか、マレーシアの致死率は、5月4日時点で1.4%と世界平均を大幅に下回っている(日本は3.5%)。

渋滞が“名物”であるクアラルンプールの道路も、活動制限令下は嘘のようにバイクや車の数は減り、空気も澄んだ(筆者撮影)

また、アメリカの投資銀行であるJPモルガンは3月25日、マレーシアにおける新型コロナウイルス感染者数のピークは4月中旬となり、その時点で「感染者数は6300人に達する可能性がある」と予測していたが、実際には4月15日時点では5000人強、実際に6300人に達したのは、それから2週間以上が経った今週月曜の5月4日になってからだった。

実はマレーシアの医療専門家でさえJPモルガンの予測を「保守的だ」として、4月中旬の感染者数が6300人にはとどまらず、さらに急速に拡大すると予測していたものの、それらの感染予測スピードを下回ることとなった。1カ月半に及ぶ国境封鎖と厳しい活動制限令による外出自粛などが、感染の封じ込めに一定の効果を示してきた形だ。

活動制限下での経済の舵取りが非常に困難

今回の突然の「緩和」宣言は、感染抑制に手応えを得たことだけが理由ではない。その背景には、政府が経済打撃に対して危機感を抱いていたことが挙げられる。ムヒディン首相をはじめ、保健局長なども相次いで、感染封じ込めへの「効果」を得たうえでの「緩和」であることを強調したものの、一方で「経済とのバランスを取らないといけない」として、活動制限下での経済の舵取りが非常に困難であることを伺わせる発言をここへ来て繰り返すようになっている。

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