コールセンター員「在宅進まず」悲痛すぎる叫び 感染不安もテレワークに割り切れない日本企業

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企業の労働組合に属さない派遣業者などの労務問題を扱う総合サポートユニオンの青木耕太郎氏によると、コールセンターに勤務するオペレーターから、この1か月間で約100件を超す相談が寄せられているという。

政府が出勤者数を「最低7割、極力8割」減らすよう要請する中、コールセンターをはじめ、テレワークが可能な職種でも、いまだにオフィスでの作業を原則とする日本企業は後を絶たない。

米グーグルが4月26日に発表したGPS情報などに基づいて分析したデータでは、新型コロナの感染拡大前と比べ、7都府県の出勤者は30%程の減少にとどまった。

テレワークについてみると、パーソル研究所が4月10─12日に実施した調査で、企業のテレワーク実施率は全国平均が27.9%で、7都府県では38.8%にとどまっているとの結果が出た。3月時点と比べて増加はしたが、テレワーク導入に成功した企業は未だ少数派だ。

企業の割り切りが決め手

日本企業による対応の遅れとは対照的に、通信会社のドイツテレコムは、サービスセンターに勤務する7000人全員をわずか4日間でテレワークに切り替えた。プラス(東京・港区)の社内カンパニーであるジョインテックスカンパニーは、クラウド上で電話を受け付けるサービスを採用。固定費のかかる装置の導入と比べ、コストは抑えられていると、デジタルイノベーション推進部副部長の山口善生氏は言う。

チューリッヒ保険会社の日本でのコールセンターのテレワーク化でシステムが採用された米アバイア日本法人の加瀬健・マーケティング部部長は、コールセンターのテレワーク化を短期間で進めるには、一部のオペレーションが制限され得ると指摘。企業として「どこまで割り切るか」が成否を決めると話す。チューリッヒでは現在、オペレーターの95%がテレワークに移行している。

テレワークの推進はいま企業に求められる最優先の安全対策のひとつだ。解雇や労災などの労務問題を手掛ける東京法律事務所の江夏大樹弁護士は、すべての企業には、労働者が安全に働けるよう配慮しなければならない義務(安全配慮義務)がある、と強調する。

同弁護士は、「十分な感染予防対策を取らなければ、(従業員を)感染の危険性に晒すということで、安全配慮義務の違反になり得る」と指摘。「労働者の生命・身体・健康の権利を優先して保護すべき」だとし、政府が会社の営業活動を制限する法律の必要性を訴えている。

(新田裕貴、山崎牧子、編集:北松克朗、平田紀之)

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